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京都・天橋立のお膝元で干し物作り体験!ここでしか食べられない「一刻干し」とは?

【宮津市】
京都・天橋立のお膝元で干し物作り体験!ここでしか食べられない「一刻干し」とは?

宮津市の老舗卸業「カネマス」で体験できる本格干物作り

こんにちは、『食らし旅』編集部です!
今回は、宮津の「カネマス」が開催しておられる干し物作り体験に参加してきました!
体験の内容は、朝の漁港に集合して自分で干物にしたいお魚を選び、その後宮津市内の工場へ移動して干物づくり。できあがった干物を昼食に焼いて食べるというコース。
宮津の豊かな海の恵みを体験しながら、カネマスさんの美味しさの秘密を探れるかと思うとワクワクします。

短時間のみ干して旨みを凝縮させるカネマスの「一刻干し」

カネマスは創業明治2年、京都府北部の廻船業者として全国各地の特産品を扱う卸業者として開業された老舗。現在は地域最古の卸業者として業務を営みながら、丹後の豊かな自然が産み出す食材にこだわった商品を扱っておられます。

中でも宮津の海で獲れた魚の「一刻干し」はその主力商品として、評判も上々。保存のためというよりは、旨味を増すために短時間のみ干して仕上げられる、まさに『一刻』干し。限りなく生に近いその干物は、あっさりしながら旨味たっぷりで本当に美味しく、お土産品としても最適です。

朝の漁港で干物にする魚選びからスタート

集合は朝8時、宮津市の宮津湾の東側にある栗田(くんだ)の漁港。駐車場に着くとカネマス代表の谷口さんから「漁船が戻ってくるまで、もうしばらくかかりそうなので、ここで待っていてください」と伝えられました。

少し肌寒い曇り空でしたが、潮風が心地よかったので辺りを散歩。港の対岸にはのどかな漁村の風景が見られます。

8時半を少し回った頃、駐車場で待っていた人たちが動き始めました。漁船が戻ってきたようです。水揚げ場の建物の扉が開いて一気に活気づき、私たちも建物内へ移動しました。
すでに大量のサワラやサゴシ、鯛、スズキやセイゴ、太刀魚、アオリイカなど旬の魚がどんどん水揚げされています。

漁協の人たちが忙しく動く中、魚を買い付けに来ている人たちも多く見られます。仲買人らしき人たちに混じり、料理人さんや業者さん、一般の方もチラホラ。たまたま知り合いの方にも会いました。漁港のお近くにお住いなので、足元は長靴とすっかり慣れておられる様子。お目当ての魚を見つけて要領よく選んでおられました。

私たちはカネマスの谷口さんと、社員の畑山さんに教えてもらいながら魚を選びました。干し物作り体験には小さめの鯛や鯵を使われることが多いそうですが、私はちょっと変わったところでホウボウを選びました。なかなか立派なサイズのホウボウです。

あまりに新鮮なお魚がたくさんあるので、私はすっかり興奮して、あれもこれも欲しくなってしまいました。個人的に魚を購入するのもOKで、選んで谷口さんに渡せば、他の魚と一緒に支払いしてくださり、後ほど清算していただけます。
私はセイゴ(小さめのスズキ)と丸ごと揚げて南蛮漬けにする小アジを購入しました。

自分でさばいて漬け込み干す!「一刻干し」を作る干物作り体験

お魚選びが終わると宮津市内のカネマスの工場へ移動して、いよいよ一刻干しを作る体験です。
畑山さんの車について行くこと10分ちょっと、市内中心部の旧街道沿いにある工場へ到着しました。工場の向い側は今も量り売りで乾物を取り扱う谷口商店です。工場の入り口には丹後産の炭の袋がずらりと並んでいます。奥の工場へ入ると何台もの流し台が備えられていて、その奥には干し場があります。


ここでもうひと組のグループが合流されました。この体験は、漁港へ行かずに干し物を作るところから参加するのもOKです。

まずは用意されている使い捨てのエプロンとキャップを身につけて準備。手も綺麗に洗います。まず畑山さんが魚の捌き方を実演して見せてくださいます。説明もとても分かりやすく、初心者の方でもちゃんとできるようにコツを教えてくださいました。

実演が終わると参加者が順番に魚を捌きます。今回は参加者が4人だったので、ゆっくり一人ずつ実習です。
畑山さんのアドバイスを受けながら魚を背開きにします。私は普段から魚をよく捌きますが、背開きにするのは初めてでした。できるだけ骨に余分な身を残さないように、包丁の角度に気をつけながら開いていきます。
ホウボウは他の魚と頭の骨の形状が違うので、頭を落としてから捌きます。骨が特別に硬いところは畑山さんが手伝ってくださり、上手に開くことができました。魚を開いたら、ブラシや竹串を束ねた手作りの道具などを使って、丁寧に血を洗い流します。こんなところにも美味しさの秘密があるようです。

その後は根昆布だしに塩、酒、酢を合わせた漬け液に15〜30分ほど漬け込みます。液の味見をさせてもらいましたが、薄塩ながら昆布の旨味がしっかり効いています。魚によって漬け液の塩分濃度や漬け込み時間は変わり、それぞれの魚に適した塩分濃度や漬け込み時間の表も貼ってありました。

漬け込みが終ったら次は干す作業。仕入れてこられた大きな魚を畑山さんが捌かれるのを見学しているうちに漬け込み時間が終了したので、金串に魚を刺してラックに引っ掛け、大型の扇風機から送られる風に当てて乾かす作業も手伝いました。魚が風に揺られ、まるで踊っているようです。

ここまでで11時を少し過ぎ、(先に魚を捌いたグループは10時過ぎには終わって散策に出られました。)私たちの作業はここまで。あとはカネマスの職人さんが仕上げてくださいます。そして12時に七輪焼きのお店に再度集合してお昼をいただきます。主菜はもちろん、自分でさばいて干し上がった一刻干しの魚です。

七輪で焼いた出来立ての干物をいただく、最高の試食時間

12時までの1時間半ほどの時間は、付近を散策するもよし、近くでお茶するもよし。私たちは徒歩圏内にある道の駅で、地元農家さんの野菜や、地元で作られている食品を物色してからお店へ移動しました。カネマスが自社製品を炭火七輪焼きで提供されているお店です。丹後半島の山奥で焼かれる高級炭を使用し、お米も丹後産の有機米。地元丹後にとことんこだわっておられます。

席に着くと、まずお惣菜が出されました。大根とイカゲソをこっくりと煮付けたもの。そしてお味噌汁、ご飯と続き、自分で作った一刻干しが皿に盛られて出てきました。目の前に置かれた七輪で干し上がったばかりの魚を焼いてくださるのですが、これが美味しいのなんのって。
あの美味しい液に漬けてさっと干した一刻干しの魚は、そのまま塩焼きにするよりも魚の旨味が凝縮しています。魚と一緒に焼いてもらった地元の旬の野菜も、炭火焼きのせいか格別に美味しく感じられます。

一緒に参加した友人と3匹の魚を平らげましたが、お腹いっぱいになったので1匹はお持ち帰り。漁港で買った魚も持ち帰り用にしていただき、代金を支払いましたが、驚きの安さでした。


集合時間から魚を干している間の待ち時間を含めて約5時間、お腹もいっぱいになって大満足。漁港での買い付けを始め、海の京都を堪能できました。ちょっと早起きすることになりますが、終了してもまだ午後1時。充実の半日が過ごせる、海や魚好きの方にはたまらないオススメ体験です。

尚、カネマスの一刻干しは宮津市内の漁師町ととまーとで食べることができます。またここでは商品の販売もしておられるので、体験する時間はなくても、食べたりお土産に買ったりできます。こちらも合わせておススメです。

紹介情報

  • カネマスの七輪焼き
    TEL 0772-22-32970772-22-3297
    instagram

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