食らし旅

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食への想い

〈森の京都 人見武瑠さん〉 自然豊かな亀岡で大切に育てられる
地域ブランドの名品「亀岡牛」
ストレスフリーな環境で美味しいブランド牛を育てる

2021/03/03

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亀岡盆地を中心に山々に囲まれ、のどかな景色が広がる亀岡市。美しい水と空気に恵まれたこの町は、京都府内有数の農地を有し、京野菜の生産などでも知られる食材の宝庫です。
そんな亀岡を代表する特産品の一つがブランド牛の「亀岡牛」。国内屈指の共進会(品評会)で名立たる銘柄牛を抑え、最優秀賞を受賞したこともある逸品です。今回は、亀岡牛の肥育農家「亀岡牛人見畜産」さんを訪ねました。

—のどかな景色の中に建つ牛舎へ

JR亀岡駅から市街地を北へ。大通りから外れて桂川の方へ抜けると一気に視界が開け、田畑が広がる中に牛舎が見えてきます。


桂川のほど近くにある牛舎。周りには田畑が広がる

「風通しや日当たりが良くて、周りも静か。牛にストレスがかからない良い環境だと思います」
そう語ってくれたのは、亀岡牛の肥育農家「亀岡牛人見畜産」の人見武瑠さん。おじいさんの代から続く畜産業を継ぎ、現在はご両親と一緒に約250頭の牛を育て、亀岡牛として出荷されています。

「亀岡牛人見畜産」人見武瑠さん。亀岡牛の肥育農家の中では現在最年少

—厳しい条件のもと生産されている「亀岡牛」

亀岡牛とは、「亀岡市内で14か月以上肥育された黒毛和種」「亀岡市食肉センターで食肉加工されたもの」「ブランド認定機関である亀岡牛枝肉振興協議会が適当と認めたもの」、これらの条件を満たした牛肉です。
亀岡の美しい水と空気の中で長期間育てて成熟させた、柔らかい肉質としつこさのないジューシーな脂が評判。夏と冬の寒暖差がある亀岡盆地の気候も肉を引き締め、味わい深くなる理由の一つといわれています。


武瑠さんのもとで約2年の肥育期間を経て立派に育ち、出荷を控えている牛

現在、亀岡市内6戸の肥育農家で生産されている亀岡牛。もともと市内で育てられた牛肉が美味しいと評判になったことから約35年前にブランドとして確立し、立ち上げに取り組んだメンバーの一人が武瑠さんの父・政章さんです。現在は家業を武瑠さんに引き継ぎ、そのサポートをしながら、亀岡牛生産株式会社の代表として亀岡牛の振興に取り組まれています。
武瑠さんは、そんな政章さんの仕事を小さいころから手伝う中で、自然と家業を継ぐことを考えていたそう。京都府立農業大学校に進学し、卒業後は畜産業が盛んな九州の肥育農家での研修を経て、亀岡へ戻り本格的に実家の仕事を引き継ぎました。


餌やりや掃除など日常的な作業をこなしながら、一頭一頭の様子をしっかり見守る

—牛たちが快適に過ごせる環境を整える

武瑠さんが日々の仕事の中で意識しているのは、牛たちがストレスなく過ごせる環境づくり。静かで風通しの良い環境をはじめ、牛舎の中を清潔に保ったり、ゆったり過ごせるように一つの囲いの中の頭数をできるだけ減らしたり、作業中に自分も牛もリラックスした雰囲気で過ごせるよう音楽をかけたりと、さまざまな工夫をしています。
飼料は、亀岡牛の生産農家の中で統一された穀物数種のブレンドをベースに、各農家で少しずつ配合を調整しているそう。配合を1%変えるだけで良くも悪くもガラッと変わってしまうという大切な要素で、現在は先代が長年の勉強と経験を経て定めた配合を守っています。もちろん牛たちが飼料をしっかり食べているかも重要で、そこには一頭一頭の性格も関わってくるのだとか。
「人間と一緒で性格がキツイのもいれば弱いのもいるので、弱い子がしっかり食べられているかなども見ながら世話をしています」


牛舎の周辺は本当に静か。牛たちもとてもリラックスした様子で穏やかな時間が流れる

—試行錯誤した成果を見つめ、日々学ぶ

自社の牛たちの世話だけでなく、亀岡牛の食肉加工を行う「亀岡市食肉センター」に通い、枝肉の解体やホルモンの処理もしているという武瑠さん。そういった作業を通して、同じ亀岡牛の肥育農家で同世代の先輩と一緒に学んでいるそうです。
「いろんな部位のサシの入り具合や脂の質はもちろん、枝肉を切る前の段階で良し悪しを見たりと、見るポイントはたくさんあり、ものすごく勉強になります。自分のところの牛だったら血統や育ってきた過程を思い出しながら『じゃあ次はこうしよう』と考えたりもしますね」

「焼肉とか行くと、ちょっとうるさいところもあったりします(笑)」と武瑠さん。肥育から解体まで携わるとあって牛肉を食べる時はやはりこだわりが出るそう

そういった日々の学びも取り入れながら大切に育てられた牛は、亀岡市内の精肉店や飲食店をはじめ、京都市内の老舗料理店などでも提供されています。取引される精肉店の方には、特に脂の質の良さなどが評価されているそうです。
2019年には、飛騨牛や松坂牛、近江牛をはじめ、選りすぐりの肉牛が出品される「近畿東海北陸連合肉牛共進会」の去勢牛の部で、武瑠さんが出品した亀岡牛が最優秀賞(農林水産大臣賞)と優良賞をW受賞するという快挙も。
「良いものをつくる上で環境や餌、血統など、いろんな要因があって思うようになることの方が少ないですし、大変なことも多いです。でもやっぱり良いものができて、それがしっかりと評価された時には、やりがいを感じますね。それがあるから続けられるってところもあります」

第66回近畿東海北陸連合肉牛共進会で最優秀賞(農林水産大臣賞)を受賞した枝肉(写真提供:亀岡牛人見畜産)

—遠方から購入できるオンラインショップも

一頭一頭、丁寧に世話をするため生産数が限られている亀岡牛ですが、人見畜産では一頭あたりが過ごすスペースの広さなど飼育環境の質は保ちながら、今後さらに頭数を増やしていきたいと考えているそうです。
現在は、亀岡市内の精肉店や飲食店での提供が中心ですが、その魅力も今後より広まっていくのではないでしょうか。
亀岡市内の店舗や道の駅のほか、亀岡牛の専門店「木曽精肉店」のオンラインショップ(http://www.gyuraku.jp/pg283968.html)などでも購入できるので、ぜひ味わってみてください。

 

(有)亀岡牛人見畜産

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