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大自然に囲まれた「綾部ふれあい牧場」で良質なジビエや京都丹波牛を味わう

【綾部市】
大自然に囲まれた「綾部ふれあい牧場」で良質なジビエや京都丹波牛を味わう

牧場と一緒に進化するレストラン「ハイジのキッチン」

「綾部は、日本の原風景のような場所がたくさん残っていてとても良いところです。そして、大自然の中にぽつんとある『綾部ふれあい牧場』も良いスポットですよ。」と、牧場内にある『ハイジのキッチン』オーナーの由良修一(ゆらしゅういち)さんは話します。

由良さんは、2010年からレストランはもちろん牧場全体に息を吹き込み、牧場内にハイジのブランコや森の中のハンモックをつくり、気軽に味わえる焼肉やジビエ料理といったメニュー開発など、話題性を考えて実践。自然の良さを残しながら人の手の温もりを感じさせる、“つくりこまない”つくられた遊び空間を築いてきた方です。

雑草が埋め尽くす牧場のレストランを任された当時から、牧場への今の思いをお聞きしました。

[ハイジのキッチン]オーナーの由良修一さん

牧場を整備し、動物との触れ合いや花畑が楽しめる人気牧場へ

一度は地元を離れ、二十数年前に家族のことを考えてUターンした由良さんは、「あやべ温泉」開業スタッフとなり、その後は綾部市や福知山市で飲食店をされていました。繁盛店経営の手腕を知ってか、誰がやってもなかなかお店が続かない『ハイジのキッチン』を、綾部市から任されることに。

[綾部ふれあい牧場]のコスモス畑

3か月だけ試験的に営業を請け負ってみることにしましたが、レストランがいくら良くても、その周りの牧場が良くなければお客様はお越しにならないですよね。だって牧場の中にありますから、牧場も良くないと。しかし当時は、壊れた柵に雑草がいっぱいで荒れ果てているような場所でした。だから、レストランを営業しながら、日々牧場の整備をしていましたね。でもね、決して嫌々ではなくて『素敵な場所だからなんとかしたい』そんな思いでした。私自身ここはとても良いロケーションだと、気づいていましたから。」

[綾部ふれあい牧場]の様子

時には、西日本最大級のドックランをつくりたいと、ワンちゃんが好きな方々に整備のお手伝いをしていただいたり、コスモスの畑を鋤いたりを、隣接する「丹馬ライディング・クラブ」の方にもお手伝いをいただいて、肥やしに馬糞をまいてもらったり。決して一人ではなく、さまざまな皆さんの力を借りて、自然豊かな牧場づくりをしてきたといいます。

[綾部ふれあい牧場]のウサギ

現在は、晴天時は放牧するヤギとヒツジに、エサやりができるウサギ、たちといった動物たちに加えて、季節ごとのお楽しみもあります。春には、ピンク色の花が咲くクレムリンクローバー畑に、夏はヒマワリ畑、秋はコスモス畑があり、冬は雪景色が素敵です。自然に囲まれる時間を過ごして癒されて欲しいと、裏山へ行けばハンモックや巨木に下がるブランコがあります。一度訪れると、自由度の高さにハマる人も多く、リピーターも増えている「綾部ふれあい牧場」です。

[綾部ふれあい牧場]の様子


 京都丹波牛をバーベキュー感覚の焼肉で味わえる


おいしい食事を提供する『ハイジのキッチン』も、リピーターが増える理由の一つです。基本の焼肉は、ファミリー盛り合わせ(34人前)3,500円~で、京都丹波牛が入るセットもありますし、京都丹波牛のカルビ定食1,900円や京都丹波牛ホルモンセット1,400円といった定食スタイルのメニューも用意。ひとり焼肉もできます。

 

「焼肉をメニューの中心に置いたのは、設備があったからという単純な理由です。でも、こういった牧場でバーべキューを楽しんでもらえるといいかなと。室内もありますが、テラス席も個室的な離れの一軒家もありますしね。食材となるお肉は、以前から経営していた飲食店が全国から本物の食材を低価で提供するというのが基本でしたから、私にはいろんな仲間がいます。開店当時は岩手の短角牛という、なかなか手に入らない大人気の赤身肉などを使っていました。しかし今は地元を意識して、京都丹波牛にシフト。できるだけ地産地消がいいと考えてお肉だけでなく野菜も地元から仕入れています。

[ハイジのキッチン]の料理


森の京都エリアの魅力でもある良質のジビエを広めたい


そして、めぐり合ったのが『地元のジビエ』です。最初は、京都府主催のジビエフェアからだったと思いますが、森の京都エリアには、素晴らしいジビエがあります。私は狩猟者ではないので正確なことはわかりませんが、血抜きをはじめ食肉の処理をいかに早く丁寧にするのか、それが鮮度の良さに繋がりおいしさに繋がるといいますし、実際にそうです(笑)。捕獲方法や処理の仕方で肉質が全く違うので、確かな技術が必要だと思います。イノシシもそうですけど、レストランで扱う鹿肉は、とにかくおいしいですよ。鹿肉=臭いというイメージをお持ちの方が多いと聞きますけれど、そんなイメージは捨てていただいていいと思います。」

[ハイジのキッチン]の鹿のロースト重定食

由良さん、実は京都中丹ジビエ街道づくり推進協議会の副会長をしていらっしゃいます。会長は「有限会社田舎暮らし」の代表で、福知山市夜久野地域を中心にシカやイノシシなどを狩り加工し、生肉を販売している中島健太郎さんで、ジビエの仕入れはこの協議会の仲間からだといいます。

 

サラダや焼き野菜、ごはんやお漬物付きの鹿の焼肉セット1,400円は、鹿肉の旨味がしっかり味わえるメニュー。牛肉の焼肉に追加できる鹿焼肉単品1,000円もあります。由良さん曰く「焼き過ぎずに、岩塩で味わっていただくのがおすすめ。」とのこと。

 

また、数量限定の人気メニューは、鹿のロースト重定食1,500円です。鹿の赤身肉を低温でじっくり焼いて、提供前に表面をカリッと仕上げるために高温で焼くそう。もち麦入りごはんが、見えないくらい敷き詰めています。

[ハイジのキッチン]の鹿と地元野菜の土鍋シチューセット

もう一つは、鹿と地元野菜の土鍋シチューセット1,480円。鹿のスネ肉を赤ワインなどで一度蒸し焼きにしてから、デミグラスソースと地元のおばあちゃんの倉庫に眠っていた味噌をちょっと隠し味に入れて、地元産の季節の野菜とともに煮込んでいます。

 

高たんぱく低カロリーで、鉄分も多く含まれているのも、鹿肉の良さの一つですが、由良さんは、違う角度からの良さがあるといいます。

 

「食べ物を粗末にしないということを伝えることにも、ジビエは良いと思っています。というのも、最近は平気で食べ残しをされるお客様がいらっしゃいます。ご飯粒一つ残さず食べられる方もいてくださいますが、命あるものをいただくという感覚を大切にしていただきたいです。敬意を表する動作から生まれた『いただきます』という言葉の意味を大切にしたいと思っています。特にジビエはそうです。」


癒される・おいしい・笑顔になれる3拍子揃う牧場を目指す

[ハイジのキッチン]オーナーの由良修一さん

由良さんは「このあたりの地域は、食材の宝庫です」と一言。平安京から京の都で食文化が発達したのも、周りに食材があったからこそ。例えば、この辺りは山の中で霧が深いところになりますが、それが食材を育てているといいます。

 

「例えば、朝からお日様がカンカンに照る下での食材や野菜とかだと、光から自分達を守ろうとして固くなることも多いといいますし、正直おいしくないはず。霧に包まれると野菜が自然とおいしくなって、そういった環境にいる鹿やイノシシは、おいしいものを食べるわけで、お肉もどことなく優しい味がします。」と由良さん。

 

地域によって鹿肉などジビエの味わいが全然違うのは、食べているものの違いからだと教えていただきながら、食物連鎖のことを頭に思い浮かべます。

[ハイジのキッチン]のテラス席

由良さんは、綾部ふれあい牧場、そしてレストランの『ハイジのキッチン』で、さまざまなお客様を迎えながら、いかに楽しんでお帰りいただくかを考えていらっしゃいます。そのために新しい試みも必要と、来年春には牧場のハチミツ販売、ナチュラルガーデンの造営、また、ご自身の年齢のことを考えて、次の人に徐々に譲っていけるような牧場づくりも視野に入れていらっしゃいます。

 

『ハイジのキッチン』でおいしいジビエや焼き肉を味わい、自然に癒され、笑顔になって帰る。そんな3拍子揃う場所は、日々のストレスをため込む前に訪れたいオアシスのような牧場。季節ごとに訪れて自分らしい楽しみを見つけてみるのも良いかもしれません。


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