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福知山のランチで食べたい「京都ぽーく」の絶品豚カツ。地元民熱愛の秘密に迫る!
【福知山市】40年以上愛され続けてきた「レストラン あじくら」
年齢を問わず、幅広い層に人気の「ファミリーレストランあじくら」。1979年に夜久野町で創業し、現在の地福知山市内に移転をしたのが1991年のこと。建物の外観は、赤レンガにツタがからまる洋風のイメージで、ファミリーレストランらしさを感じさせますが、一歩中に入れば風神雷神の屏風や陶器のカップなどが並び、まるで蔵の中にいるかのような和の雰囲気があります。
提供されるメニューはすべて「蔵出し料理」と呼ばれています。その理由と、看板メニューである豚カツのヒミツについて、二代目で現在の代表、小笠原英範さんにお聞きしました。
おもてなしの気持ちを込めた、メニュー豊富な「蔵出し料理」
天井が高く、まるで古い蔵をリノベーションしたような内装が印象的な店内。店名の「あじくら」=「味」の「蔵」にふさわしい、蔵風のデザインにしたのは先代の意向。さらに、洋風の外観と自然光が差し込む優美で素敵な半円形の窓は、岡山県・倉敷市にあるアイビースクエアの建物をモチーフにされたといいます。
上を見上げれば、中国の骨とう品・立て屏風が飾られ、風神を描く壁もあります。窯元から集めたという有田焼の小さなギャラリーもあり、昔ながらの旧家にありそうな本物の蔵を感じさせます。
店内は、テーブル席やカウンター席のほか、慶弔事や宴会に使用できる個室もあるので、おひとり様からカップル、ファミリーまで、用途に応じて使えるのも地元から愛される理由です。
何より、お店のファンが一番楽しみにしているのは、バラエティー豊かなメニューの数々。名物の蔵かつをはじめ、寿司や刺身、釜めし、うどん、ハンバーグ、エビフライ、和風ステーキ、デザートなど、和洋折衷で種類が豊富で、すべて「蔵出し料理」といわれています。
和風ハンバーグ定食 1672円
その理由を小笠原さんにお聞きすると「かつて地方では、お正月やお盆といった特別な日に訪れる客人に対して、蔵にしまってある大事な食器を出しておもてなしするという風習がありました。先代はこれを「蔵出しのおもてなし」と名づけ、『蔵出し料理』という造語を考案。店名の「あじくら(味蔵)」の始まりになっています」。
『蔵出し料理』には、おもてなしの意味が込められ、それが店の屋号となり、コンセプトになっています。
蔵かつ明智御膳 2200円
銘柄豚「京都ぽーく」をミルフィーユ状に重ねた名物の「蔵かつ」
訪れた方のほとんどが注文するメニューが「蔵かつ」です。
200g の豚肉を8~10枚に薄くスライスし、それを重ねて揚げるミルフィーユスタイルの豚カツ。サクッとした食感で、柔らかくてジューシー。先代が近隣にある他店との差別化をはかるために試行錯誤した結果生まれた調理法といわれています。
そもそも先代は、和食のファミリーレストランとして、何か名物になる料理を模索。そこで、食材を安く仕入れることができ、おいしくて、かつ、ボリュームもある豚カツに目をつけました。とはいえ、競合する店舗が近くに数軒あり、同じような豚カツを提供しても店を代表する料理にはならないと考え、猛勉強をしたそうです。
当時、インターネットはほとんど普及していません。食に関するありとあらゆる雑誌や新聞に目を通しているうちに、ハッとひらめいたとか。それが、薄い豚肉を幾重にも積み重ねて、ケーキのミルフィーユのようにしたカツで、当時はとても珍しい揚げ方だったそうです。
また、豚肉もせっかくなら京都の食材を使った方が地域の貢献になると思い、プレミアム銘柄「京都ぽーく」を使うことに。京都ぽーくは、京都府畜産研究所で3種類の優良な系統豚を組み合わせた京都府産の銘柄豚です。緑豊かな京都府下の自然のなか、柔らかく風味のある肉質を作るために栄養豊富な大麦やパンくずなどを配合した飼料で、丹精込めて育てられています。食べてみると旨みと甘みが存分に感じられ、肉のグレードの高さが伺えます。
人気は「蔵かつ明智御膳」。こちらも地元を意識してのメニューで、福知山城を築いた戦国武将・明智光秀にちなんで作られました。分厚い蔵かつがドーンと盛られ、サラダや茶わん蒸しなどが付いた豪勢なお膳です。
先代から学び共に考えた「蔵かつサンド」はテイクアウトでも
レストランを経営してきた先代と2代目代表の小笠原さん、お二人とも厨房で腕をふるいます。先代は、小豆島や皆生温泉のホテルマンを経て、最後は支配人に就き長年ホテル業界で活躍されてきましたが、縁あって「レストランあじくら」を開業されました。
2代目代表の小笠原さんも、もともと料理人ではなく、前職は酒造会社に勤務する営業マンでした。実は、その酒造会社の社長と「あじくら」の先代は、取引を通じて交流を深めていた仲。ある時、「レストランの跡継ぎを探しているけど、誰かいないか」と相談されたそうです。そこで白羽の矢がたったのが、当時酒造会社に勤めていた小笠原さんです。
小笠原さんは、2007年から「レストランあじくら」に入り、先代から接客から調理まで教わりながら、技術を習得しレストランに携わってきました。2013年に、代表として店を引き継いだ後も、先代が築いてきた料理やおもてなしのコンセプトを大切に守りつつ、新たなメニューのレシピも手がけています。
テイクアウトもできる「蔵かつサンド」は、先代と小笠原さんが考案したメニューのひとつです。地元パン屋さんから届けられる、玄米やハーブ、ベッパー、オリーブオイルなどを練り込んだ特注フォカッチャに「蔵かつ」を挟みました。風味豊かなパンとカツの相性がよく、食べ応えがあり大満足できます。
蔵かつサンド 1100円
食材も京都府産を中心に使う、地域密着型のレストラン
地元密着スタイルで、開業より地域に根付いたレストランのスタイルは変わっていません。
料理で使う食材も同様です。肥沃な土に恵まれた福知山産や綾部産の米をはじめ、肉や魚、野菜などを地元の業者から仕入れ、京都府北部の素材を中心に使います。例えば、夏が旬の地元の万願寺唐辛子は、肉厚で瑞々しいのが魅力。天ぷらにしたり、鉄板焼きの添え野菜として提供されています。。
店内の大きなテーブルの上には、多種多彩な有田焼のコーヒーカップが並びます。時間帯によっては、お客さんが好みのカップを選び、とっておきのコーヒーが楽しめるそうです。お客さんの中には「ここで飲んだほうが美味しいから」と自宅にあるお気に入りを棚に置き、マイカップにされることもあるとか。
目線を上に向けると、天井近くの棚には花瓶や大皿、お雛さん、御神輿などが鎮座しています。こちらは骨とう品店で購入されたのではなく、お客さんから譲り受けたもので、長年蔵で眠っていた年代物が晴れて日の目を見ています。
コロナ禍が落ち着けば、「宴会を中心に仕出し料理や お弁当にもっと力を入れたい」と小笠原さん。また、「高齢者が多い地域なので、おうちでも安心して美味しいものを食べられるような宅配サービスみたいことができれば…」とこれからの展開も検討されています。
「今後も、ほっこり、ゆっくりできる店づくりをしていきたい。いらっしゃったお客様には笑顔で帰ってもらいたいと思います」と、先代から引き継がれた「おもてなしの心」を大切にされています。
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