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【かまぼこ作り体験】「生すり身」をたっぷり使う、京都・舞鶴流!出来立てふわふわのかまぼこ

【舞鶴市】
【かまぼこ作り体験】「生すり身」をたっぷり使う、京都・舞鶴流!出来立てふわふわのかまぼこ

「舞鶴かまぼこ工房」でかまぼこ作りに挑戦

こんにちは!『食らし旅』編集部です。

今日は、「舞鶴かまぼこ工房」さんで行われている「舞鶴かまぼこ手作り体験」にやってきました。練りものが大好きな私ですが、これまで自分で作ったことはありません。どうやったらお魚からふわふわの食べ物ができ上がるのか未知の世界ですよね。体験では、かまぼこ博士によるレクチャーも聞けるとのことで、しっかりお勉強もしてきたいと思います!

かまぼこ工房に到着!体験は持ち物不要。普段着のままでOK

工房のドアを開けると、舞鶴かまぼこ協同組合の辻義雄さんが出迎えてくれました。地域の中学生も体験に来ていて、賑やかになりそうです。キャップやエプロンが用意されているので、普段の格好で体験できるのも嬉しいところですね。体験の途中で床に水がかかることもあるので、滑りにくい靴をお勧めします。

まず、かまぼこ博士の辻さんから簡単なレクチャーをお聞きします。体験では魚の身と調味料を練り合わせた「すり身」が用意された状態で、かまぼこ、ちくわ、天ぷらの3種の料理を作ることができます。蒸しあげると「かまぼこ」、焼くと「ちくわ」、揚げると「天ぷら」になる。いわば練り物三兄弟だったのですね〜!

新鮮な「生すり身」を使った伝統製法へのこだわり

そうか〜原料の「すり身」から作ることはできないのか〜。そう思われる方もいらっしゃることでしょう。でも、このすり身は舞鶴かまぼこ工房のこだわりが詰まった「とびっきりのすり身」なんです。

舞鶴かまぼこ協同組合が行うすり身作りのプロセスをご紹介しましょう。協同工場では、鮮魚から頭を切り落とし、内臓を除去し、身をほぐし取って、水にさらして脂や血合いを取り除き、脱水した後に袋詰めまでの加工をされています。ここからはそれぞれのかまぼこ屋さんの出番です。共同加工したすり身に再度ミンチを通し、鱗や皮を取り除き、塩を入れて練り上げてようやく完成!この新鮮な「生すり身」を使うことが、舞鶴かまぼこ文化の生命線。今や、「冷凍すり身」だけを使うメーカーが主流となる中「鮮魚からのかまぼこ作りという伝統をなくしてはならない」という思いが込められたすり身なんです。

この「生すり身」をふんだんに使って、独自の製法で作られた「舞鶴かまぼこ」は、平成18年には特許庁の地域団体商標を取得し、「舞鶴市ならではの名産」となっているんです!

かまぼこ作りスタート!

さあ、いよいよかまぼこ体験のスタートです。四角い穴の空いたゴムシートにたっぷりのすり身が盛られていきます!

最初に、包丁をぐっと押し付けて中に入った空気を抜きます。次に、包丁をヘラのように使って平らにならし、ゴムシートを外します。かまぼこ先生のお手本のように綺麗に仕上げようと、中学生たちも集中!集中!

平らになったすり身の両端にかまぼこ板と包丁を当て、両側から押し付けて中央に寄せていきます。2つの山をかまぼこ板に押し付けて、基本の形を作ります。

ここからは、包丁を使って作業台に残ったすり身を加え、綺麗な山型を目指してペタペタ。独特の弾力があるすり身はなかなか思い通りの形になりませんが、最後にラップを巻いてゴロゴロと転がし形を整えることができます。成形したかまぼこは、約一時間かけて蒸しあげられます。

蒸し上がるまで、ちくわ作りにもチャレンジ

待っている間に、ちくわ作りへと進みましょう。かまぼこと同様にゴムシートを使ってすり身を整え、竹に巻きつけていきます。竹を回転させながら、包丁で少しずつ押し当ててクルクル。作業に慣れてきた中学生たちのちくわは、つるんと見事な仕上がりです。

おお〜うまいね!などと声をかけながら私もやってみると…包丁にばかり身がついてしまって、ボコボコの形になってしまいました。泣きそうになりながら、なんとか穴を埋めてちくわ焼き機へセット。

加熱されると、すり身は見る間に膨らんでいきます。膨らみ過ぎた場所が焦げるのを防ぐために針のついた道具でトントンと叩きながら、今か今かと焼き上がりを見守ります。少しきつね色になったかなと思うと、あとは一瞬!美味しそうな焼き色になったところでヒーターから外し、冷却用の串に刺します。ぷっくり膨らんだちくわは数分でしゅ〜っと萎み、独特のシワが現れてきました。早速、はじめて自分で作ったちくわをいただきます。

焼きたてのちくわは、香ばしい香りと旨味が相まって、いつも食べているものとは別格の美味しさ!

原料となる魚のすり身についてとその歴史

その間に、かまぼこ先生から原料となる魚のレクチャーが始まります。すり身作りに使われる魚は年間を通して約50種にもなるんだそう!ここですり身の歴史を振り返ってみたいと思います。明治初期の頃、関西を中心にハモを、東日本ではタイ、ヒラメ、キスなど各漁港に上がる地方色豊かな魚を原料としてかまぼこ作りが行われていました。しかし、近海魚が枯渇するようになり、東シナ海で獲れるグチへと原料が移り変わっていきます。昭和に入ると北洋のスケソウダラ漁に注目が集まりました。糖類を加えたスケソウダラのすり身は冷凍しても品質が変わりにくいことが発見され、一気に全国へ流通したのです。舞鶴のかまぼこ作りは冷凍スリミを取り入れながらも、できる限り近海の鮮魚を使う製法を守っています。等級の高いかまぼこほど近海の生スリミの配合が高くなっているとのこと。

ちなみに、かまぼこに使われるすり身は「身が白くて弾力がある」魚に限られるため、5種類くらいしかないそうです。真っ白なかまぼこは、練り物の中でも特別な存在なんですね。

最後は天ぷら作り!そしてできたてかまぼこを試食

食べ終えると、最後は天ぷら作りです。ここまでくればもう慣れたもの。丸・四角・ハートの型を使って、みんなハイスピードで形をつくっていきます。

こんがりと揚げて、天ぷらも完成!

ほくほくの揚げたてを頬張っていると蒸し器のブザーが鳴りました。ドキドキの瞬間です。

思わずおお〜っと歓声が上がります。

生まれて初めて食べる、ふわふわアツアツのかまぼこのお味は…

なんて甘いんでしょう!

旨味とも違う、軽やかな甘さがふんわりと広がります!これは口福♡普段食べているかまぼこと、こんなにも弾力が違うなんて驚きです。噛みしめるたびにぷりぷりと美味しさが弾けます。

「地魚の生すり身」にこだわった舞鶴のかまぼこには、郷土の食文化への愛と誇りが詰まっていました。通常のかまぼことは段違いのぷりぷりさも堪りません!「生すり身」を使った「鮮魚からのかまぼこ作り」という伝統が、この味を出すのかと驚嘆しつつ「舞鶴のかまぼこを食べたら、他所のかまぼこが食べられない」という地元の方のお言葉に心から納得しました。

「お土産に持って帰って、お家の人と一緒に食べてね」。かまぼこ先生もみんなの笑顔に嬉しそうです。

充実したプログラムの舞鶴かまぼこ手作り体験

約1時間半のかまぼこ体験はあっという間に終了。合間にはかまぼこの名前の由来も教えてもらいました。知りたいぞ!という方は、ぜひ「舞鶴かまぼこ手作り体験」にチャレンジしてみてください。身近な食品なのに、その作り方も歴史も知らなかったかまぼこ・ちくわ・天ぷらについて美味しく学べる体験、食らし旅編集部のオススメです。帰り道には、道の駅 舞鶴港とれとれセンターのかまぼこコーナーで名店の味をチェックするのもお忘れなく!

夜には地酒と一献のお楽しみも待っていますよ。


紹介情報

  • 舞鶴かまぼこ協同組合

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