美しい日本のふるさと、美山

南丹市美山町は、京都駅から車で約1時間半。京都府のほぼ中央に位置し、かつて福井県小浜市と京都市を結ぶ「鯖街道」の経由地として栄えました。今もなおまちの至る所で、街道の面影を垣間見ることができます。 美山観光の中心となるのが、美山かやぶきの里です。江戸時代から明治時代に建てられた茅葺き屋根の家屋が多く残され、現在50戸ある家屋のうち39棟が茅葺き屋根。集落を形成する北村は、平成5年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。

今回Maiさんは「かやぶきの里プライベートガイドツアー」（主催：一般社団法人南丹市美山観光まちづくり協会）に申し込み、かやぶきの里を散策しました。

暮らしが息づく茅葺き屋根の家

 

「こんにちは。ようこそおいでくださいました」と元気にお出迎えしてくれたのは、ガイドのあいこさん。かやぶきの里に暮らしている住民の一人です。

里をご案内いただきながら、茅葺き屋根のことや里での暮らしについてお伺いしていきます。 入り口に辿り着くとまず目に入るのが、ぽつんと佇む昔ながらの赤い丸ポストです。

「ここからMaiさんが暮らす東京にも手紙が送れるんですよ。ポストがあるのは、里が生活の場であるという証明です。今も美山民俗資料館以外の家には全て人が住んでいます」と話すあいこさん。Maiさんは「観光地でもあるけど、ちゃんと人の営みがあるんだ」と興味津々です。 「日本の原風景」とも呼ばれるこの昔ながらの風景を守るため、あいこさんをはじめ里のみなさんは、里で暮らす全世帯が出資する有限会社かやぶきの里を設立。訪れる観光客をガイドツアーや民宿を営みおもてなしをしながら、暮らしとの両立をはかっています。

そうした取り組みが功を奏して、3組の家族がかやぶきの里に移住。子どもの声が聞こえてくる賑やかな里を、未来に残そうと尽力しているそうです。

 

一軒ずつ特徴ある色や形をした屋根

 

 かやぶきの里で一番気になることと言えば、やっぱり茅葺き屋根のこと。 「この立派な屋根、厚さは50〜60cmあります。白いところは稲わら、茶色いところはススキ、内側はおがら（麻の茎）と三層に分かれているのがかやぶきの里の特徴です。茅葺きの屋根は20〜25年に一度葺き替える必要があります」とあいこさん。

里には現在、10名の茅葺き職人がいて、1軒につき三週間ほどで葺き替えが可能とのこと。 「全部同じ屋根かと思ったら、一軒一軒、色や形が違うんですね。面白いです」（Maiさん） かやぶきの里が最も賑わうのは、防火用に設置された放水銃の点検のための一斉放水の日。12月1日と5月20日（現在はコロナ禍のため不定期）には、その様子をひと目見ようと全国各地から大勢が駆けつけます。

「放水の日はずらっと人が並んで、パレードみたいに賑やかなんですよ」とあいこさんは微笑みます。 「きっとすごく綺麗なんでしょうね。いつか水のアーチがかかる風景も見てみたいです」（Maiさん）

カフェやギャラリー、レストランも

 

かやぶきの里には、美山民俗資料館以外にもカフェやギャラリー、レストラン、パン屋さんなどさまざまなお店や施設があります。そのうちの一軒にMaiさんも寄ってみることに。

ここは「カフェ美卵」。かやぶきの里の中野養鶏場の直営店です。 美山牛乳のジェラートやドリンクなどカフェメニューが充実しています。中でも人気なのは自家製の平飼い卵を使った名物プリンです。

「自家製の平飼いたまごを使ったプリンをいただきます。うん、なめらかでコクがあります。美味しくて秒で食べちゃうって言うけど、まさしくその状態です（笑）こんななめらかで濃厚なプリンは初めていただきました」（Maiさん）

（「あっという間に溶けてなくなっちゃう。美味しいです」とMaiさんも驚きのなめらかさ）

一緒に注文したホットジンジャーをいただきながら、かやぶきの里の風景を眺めます。 「しょうががたっぷり入っていて、いい香りです。冬にピッタリのドリンクですね。体がポカポカと温まります。のんびりと里の暮らしを眺めるのにも良い場所ですね」（Maiさん）