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【1人前食堂・Maiさんのフードトリップ】〜「森の京都」をめぐる1泊二日の旅〜

【南丹市・京丹波町】
【1人前食堂・Maiさんのフードトリップ】〜「森の京都」をめぐる1泊二日の旅〜

「森の京都」をめぐる旅

京都府域の74%を占める森林。山の恵みを受け、豊かな森と共に発展してきた、福知山市・綾部市・京丹波町・南丹市・亀岡市・京北(京都市)を「森の京都」と呼んでいます。

山から湧き出す清らかな水は新鮮な野菜やお米を育み、木材は神社仏閣や住宅の建築資材として、古くから京の都を支えてきました。
今もなお古き良き農村の暮らしや里山の風景が残る「森の京都」を、人気YouTuberとして活躍する1人前食堂のMaiさんがフードトリップした様子を紹介します。

日本の原風景に出会う

訪れたのは、京都駅から車で1時間半ほどに位置する京都府南丹市美山町。古き良き日本の原風景の色濃く残る山里には、美山かやぶきの里があります。 江戸時代から明治時代に建てられた茅葺き屋根の家屋が残され、今も50戸ある家屋のうち39棟が茅葺き屋根です。

(古き良き日本の暮らしを彷彿とさせる景色が広がります。)

「この先もずっと日本に残ってほしい風景です。なんだかほっとする安心感があります」(Maiさん) 入り口に佇むのは、昔ながらの赤い丸ポスト。観光名所となった美山かやぶきの里が、今も住民の生活の場であることを示しています。


里を奥に進んでいくと、いくつもの茅葺き屋根の家を見ることができます。 「全部同じ屋根かと思ったら、一軒一軒、色や形が違うんですね。面白いです」(Maiさん)

(里の茅葺き職人は10名。茅葺きの屋根は20〜25年に一度葺き替えられます)


茅葺き屋根のカフェでほっと一息

カフェ、ギャラリー、レストラン、パン屋さん。茅葺き屋根の家屋のいくつかでは、お店も営まれています。Maiさんは「カフェ美卵」に立ち寄ることにしました。

(「カフェ美卵」は、かやぶきの里の中野養鶏場直営店)

美山牛乳のジェラートやドリンクなどカフェメニューが充実しています。中でも人気なのは自家製の平飼い卵を使った名物プリンです。


「自家製の平飼い卵を使ったプリンをいただきます。うん、なめらかでコクがあります。美味しくて秒で食べちゃうって言うけど、まさしくその状態です(笑)こんななめらかで濃厚なプリンは初めていただきました」(Maiさん) 里の中で畑をされている風景、用水路に葉っぱが流れている様などを眺めながら、のんびりしたひと時を過ごしました。


美山町産の食材で作られたソーセージ


「わあ、可愛いログハウス!」とMaiさんが歓声を上げたのは、美山かやぶきの里から車で数分のところにある「美山おもしろ農民倶楽部」。こちらでは地元の食材を使った無添加のソーセージとハムの製造・販売をしています。  「ここでランチをいただきましょう。せっかく森の京都を旅しているので、ジビエを食べたいな。シカソーセージのホットドッグをお願いします」(Maiさん)


(口に入れると、プチッと皮が弾けます。肉汁たっぷり。歯ごたえもあり食べ応え抜群です。)

「シカ肉って獣臭がするのかなと思っていましたが、全く臭みがないですね。ハーブの香りともよく合います」(Maiさん)

(「シカは獣害駆除として地元の猟師さんが獲ったものを利用している」と店主さんから教わりました。)

食後は店内でお買い物。美山産の豆乳や湯葉、九条ネギ、京地鶏など、京都らしい食材を使ったソーセージに、ハムやベーコンがずらりと並びます。

(Maiさんは「京壬生菜ソーセージ」と「万願寺ソーセージ」をお土産に購入。)

「朝ご飯に一本焼くだけで満足感のあるソーセージです。他にも購入したソーセージを使って、スープやポトフ、シュークルートも作りたいです」(Maiさん)


工場直送、美山牛乳100%のジェラート


食後のスイーツを求めて訪れたのは「道の駅 美山ふれあい広場」。かやぶきの里の玄関口として多くの観光客を迎えており、観光やツーリングを楽しむ人で賑わいます。その一角に、「美山のめぐみ牛乳工房」があります。


美山の自然のめぐみが凝縮された味として人気で、ここではソフトクリームやジェラートを楽しめます。  

「見て見て。『道の駅ソフトクリーム総選挙2018』(主催:一般社団法人日本自動車連盟・じゃらん)で関西一位やって。 ミルクに黒豆、ゆず、チーズ、そして期間限定の焼き芋などどれも美味しそう!」(Maiさん)

 Maiさんが選んだのは人気No. 1のミルクと丹波産の黒豆を使った黒豆のジェラート。


「ミルクはねっとり感のあるジェラートです。濃厚だけど後味はさっぱりしていて、美山牛乳のおいしさをダイレクトに感じられる味わいです。黒豆はつぶつぶ感がたまりません。豆の風味もしっかりあります。ジェラートを食べるために美山へ来たくなるほど、美味しいです」(Maiさん)



ジビエのプロに精肉加工を学ぶ

ここまでランチにデザートと、美山の食を楽しんだMaiさん。ランチでシカ肉を頂いてから気になっていたジビエについて学ぼうと、古民家レストラン「厨房ゆるり」と併設するシカ・イノシシの加工施設「一網打尽」を訪れました。


(築150年を超える立派な茅葺き屋根の古民家でお客さまをお出迎えしている)

お話を聞く前に、店主・梅棹さんのご好意で、撮影の為実際にシカの精肉加工を体験させていただくことになりました。(※通常は行っておりません) 「シカを捌くのは初めてです。この時点でも全く獣臭さはないんですね」(Maiさん)


イメージと異なるシカ肉の匂いについてつぶやくと、梅棹さんは「臭いのは古い個体です。鮮度が良いものは肉質も良く、臭みもありません」と続けます。  梅棹さんに教えてもらいながら、モモ肉を捌いていきます。内もも、外もも、シンタマ、ふくらはぎ、スネに分けると完了です。 普段、梅棹さんが捌くときは皮をむいてから解体まで15分ほどで終わるのだそう。そのスピード感に、Maiさんも驚きます。

(解体・精肉加工されたお肉は、真空パックされて冷凍庫へ。ここから全国各地のレストランなどへ出荷されます)

場所をお隣の古民家レストラン「厨房ゆるり」に移して、ジビエのお話をお伺いします。


「美山町では野生のシカやイノシシが増え、獣害被害は深刻です。そこで猟師さんが獲ったものを『一網打尽』が買い取って加工した後、都市部のレストランへ卸す仕事を始めました」と梅棹さん。野山を駆け回って育った美山町のシカやイノシシは、筋肉質でありながら柔らかい肉質でレストランからも好評です。  「東京でも美山町のシカを食べられるのは嬉しいです。良いレストランは常に一流の食材を探されています。今後も素敵な出会いがあるといいですね」(Maiさん)

「厨房ゆるり」では、一網打尽のジビエや地元の野菜を使った季節の料理を提供しています。 「地元で獲れたシカやイノシシを、その土地で食べられるってすごく素敵ですね。今度はゆっくりお邪魔したいと思います」(Maiさん)

(外に広がる山々と調和した空間。長年積み重ねられてきた森の食文化がそこにありました)

牛肉や豚肉などと並び、シカ肉も一般的に流通するようになる未来に向けて、これからも販路を広げていきたいと語る梅棹さん。レストランのみならず、給食や家庭の食卓に並ぶ日が楽しみです。

 

 料理旅館でボタン鍋に舌鼓を打つ


山の夕暮れは早いもの。ジビエの話をたっぷりお伺いするうちに、辺りが暗くなってきました。「厨房ゆるり」から車で数分のところにある本日の宿泊先、「料理旅館 きぐすりや」に到着です。


「料理旅館 きぐすりや」は明治時代から薬商を営んでいた店が大正8年に宿として創業。京地鶏のすき焼きに加え、季節ごとの料理も魅力。春は山菜、夏は天然鮎、秋は松茸、冬には冬期限定「地猪肉ぼたん鍋」を味わえます。

(Maiさんは明治13年に建築された別館に宿泊。囲炉裏や暖炉を設えたレトロな空間です)

 「素敵な古民家ですね。ここで積み重ねられてきた森の暮らしの歴史が伝わってきます」(Maiさん) 夕飯は地元のイノシシ肉を使ったボタン鍋。囲炉裏でじっくりと煮込んだ鍋をいただきます。イノシシ肉の脂身にはコラーゲンがたっぷり。「料理旅館 きぐすりや」特製の味噌だしで頂きます。 「脂身はなんとも言えない甘みがありますね。噛めば噛むほど、旨味が出てきます」(Maiさん) 

(イノシシ肉の美味しさに惹かれて、おかわりをする人も多いそうです)

「秘伝の味噌だしが、イノシシ肉によく合います。お肉と野菜を交互に食べると、いくらでも食べ続けられちゃいます」(Maiさん)

(あっという間に全部食べちゃいました)

「外は厳しい寒さですが、ボタン鍋で体が芯から温まりました。ごちそうさまでした」(Maiさん)

 

 朝に食べたいものが並ぶ食卓

 

「ボタン鍋で体がぽかぽかと温まったからか、よく眠れました」と言いながら、翌朝、Maiさんが起きてきました。今日もいいお天気になりそうです。 眠気覚ましに、宿の裏手に今も残る西の鯖街道をお散歩。賑わっていた鯖街道を想像しながら元々薬屋だった「きぐすりや」の昔の姿に思いを馳せます。

(物資運搬のために作られ、京都市と小浜市を繋ぐ「鯖街道」)

朝食は本館の大広間で。焼き鮭・だし巻き卵・お浸し、釜戸で炊いたご飯、お味噌汁などがずらりと並びます。


「朝が寒い季節になってきたので、温かい食事は嬉しいです。お味噌ってなんでこんなに体が目覚めるんでしょう」(Maiさん)  


「美味しい旅館の朝ご飯。今日は体をたくさん動かすから、しっかりいただきました」(Maiさん)


 

 トレッキングで落差65mの滝つぼを目指す

 

準備を終えて、Maiさんが向かったのは美山町の洞地区。滝が非常に多くみられ、シャクナゲ群生地や美山町有数の蛍の名所としても知られています。 Maiさんは「洞の滝トレッキングツアー」に参加。目玉は、落差65mある「音谷の滝」を、流れ落ちる滝の直上、全貌が見える林道、水が落ちる滝つぼの3ヵ所から眺められることです。 道中、クマが木の皮を剥いて中の蜜を吸った跡やイノシシが斜面を登った後、木や植物の名前を教えてもらいながら、歩き進めます。 1時間半ほどで、目的地である「音谷の滝」が見えてきました。



「わ〜!すごい!圧巻ですね。水しぶきがかかるほど滝が近いです」(Maiさん) 「一つの滝を3ヶ所から見られるなんてすごい贅沢。角度によって滝の姿も音も変わって面白いです。頑張って歩いてよかった」(Maiさん) 滝を楽しんだところで、そろそろランチの時間です。いただくのは美山町の「料理旅館 きぐすりや」のお弁当。

※通常のツアーは「厨房ゆるり」のお弁当になります。Maiさんは前日に「料理旅館 きぐすりや」に宿泊したので、旅館のお弁当を頂きました。

「滝を間近に見ながら、美味しいお弁当を食べられるなんて贅沢です。こんな機会はなかなかないですよね」(Maiさん) 帰りは、ガイドさんとのおしゃべりを楽しんでいると、あっという間に麓まで到着。 「山菜取りに行ったことがあるくらいで、普段山に登ることはあまりありません。落差56mの音谷の滝は圧巻で、登りきった時は達成感がありました」(Maiさん)



「森の京都」のお土産が揃う道の駅でお買い物

 

こうして「森の京都」エリアの体験は全て終了。京都市内へ戻る途中、「道の駅 京丹波 味夢の里」に立ち寄り、お土産を買うことにしました。 地物の卵、ジビエ、大黒本しめじなど、森に育まれた食材が一同に集まる場所です。

「迷ってしまうほどの品揃えですね。わあ!すごい大きなしめじ!」(Maiさん)

(丹波地方で栽培される「大黒本しめじ」。焼き物、煮物、揚げ物など様々な調理法で楽しめます。)


「黒豆パンは帰りの新幹線のおやつにピッタリ。東京に帰ってからおみやげに買った黒枝豆で、炊き込みご飯を作りたいと思います」(Maiさん) 家に帰ってからも、「森の京都」を思い出しながら味わえるお土産がいっぱい。ウキウキ気分でフードトリップを終えました。


森の豊かさに育まれた山の暮らし

 「森の京都」を訪れた1泊2日のフードトリップはおしまい。今回、Maiさんには京都府南丹市美山町・京丹波町を訪れていただき、山の恵みであるジビエや卵、牛乳を味わってもらいながら、トレッキングを通じて自然を満喫していただきました。

今回の旅は、Maiさんにどのように映ったのでしょうか?

「スーパーで食材を買って料理するのでは味わえない、自然の恵みをいただく実感がありました。山の恵みであるジビエを使ったホットドッグやボタン鍋、平飼いの卵を使った絹のようになめらかなプリンなど、どの料理からも作り手の思いが伝わってきました」(Maiさん)

「都市部で暮らすとオーガニックであることや無添加であることが、付加価値になります。でも、森の京都のみなさんは当たり前のように、食材の安心安全を大切にされていました。その姿勢がとことん自然体だから、受け取る私の安心感に繋がっているのかなと思います。実際に森を見て、作り手の思いを知ると、愛着が湧きます。情報だけではなく、暮らしを見た上で五感で味わうフードトリップは、自身の食生活や価値観を見直す機会にもなると思いました」(Maiさん)

メイン
<旅した人> 1人前食堂 Mai 1995年生まれの料理愛好家。子どもの頃から大の料理好き。2019年6月から「心ときめく食材とレシピに出会う日々」をテーマに、「1人前食堂」と名づけたYouTubeチャンネルを開始。自分のためにつくった料理を美味しそうに食べる動画が注目を集める。料理工程が丁寧でわかりやすく、独特の映像のセンスや、思わず聞き入ってしまうナレーションが人気。スパイスやハーブ、発酵食品など、食材や調味料に詳しく、さまざまなレシピの提案を行っている。チャンネル登録者数80万人。大阪出身。大学時代を京都で過ごし、現在は東京在住。

紹介情報

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