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旨みが凝縮した京都の逸品「琴引の塩」〜名物職人・塩じいと一緒に塩作り体験〜

【京丹後市】
旨みが凝縮した京都の逸品「琴引の塩」〜名物職人・塩じいと一緒に塩作り体験〜

鳴き砂で知られる“琴引浜”に由来する塩作り体験

こんにちは。『食らし旅』編集部です。
今回は、京丹後市網野町にある『琴引の塩』工場さんで行われている、『my塩作り体験』にやってきました。

[琴引の塩工場]の外観

琴引の塩とは?

『琴引の塩』は、京丹後市網野町にあるお宿『海遊』さんが、1999年に始められた塩工場で作られているお塩です。

元々、海遊さんがある『三津』地域は、海に近い地域ということもあり、日々の生活の中に塩づくりが息づいていました。

次第にその習慣が地域から薄れていった中、1997年に塩づくりが自由化されたことを契機に、『他の旅館にはないものを作ろう!』ということで、昔ながらの製法で製造を行う塩づくりの取り組みを開始されました。

『琴引の塩』という名前は、近くにある鳴き砂で全国的に有名な『琴引浜』に由来。

砂の上を歩くと『キュッ』と音がする『鳴き砂』は、不純物がないキレイな砂浜で見られる、貴重な現象です。

琴引の塩は、この琴引浜周辺の透き通った海水だけを材料に、豊かな自然環境のそばで数日間かけて丹念に焚き上げて作られる、こだわりの塩です。

[琴引の塩工場]の安井さんと西村さん
(写真右の方が、琴引の塩工場の安井さん。左が、通称「塩じい」こと、西村さん。)

体験では、この塩づくりの匠である、人呼んで「塩じい」こと、西村さんや安井さんが

塩づくりを優しく教えてくれるので安心。

海水から塩へ。琴引の塩の作り方

到着後は早速、塩づくりの工程見学と体験へ!

海遊さんのmy塩づくり体験では、実際の塩づくりの工程を説明していただきながら、自分で塩づくりを体験するという流れになっています。

体験では、カセットコンロと鍋を使って塩を作るのですが、工場の製造では、大きな塩作り専用の釜を使って製造が行われます。

[琴引の塩工場]の塩づくりの釜
(塩づくりの釜。工場にはこの釜が4台ある。)

塩づくりは、まず海水を海から汲んでくるところから始まります。

次に、海から汲んできた海水を、3日ほど火にかけ、3%の塩分濃度を24%になるまで煮詰めます。

[琴引の塩工場]の釜で海水を煮詰めているシーン
(海水を釜で煮詰めていきます。)

薪を使って行うこの作業、私が体験に行った10月は、工場の中は非常に快適な温度でしたが、夏場は大変な高温になり、熱中症に気をつけなければいけないそう。

煮詰めている作業中も、しっかり混ぜ合わせたり、薪をくべたりの温度調節など、常に管理が必要となる重労働です。

ちなみに釜の熱源の薪は、古材などの比較的大きな薪を使用しているとのこと。

薪を持つ西村さん
(釜に入れる薪はこんなにも大きい)

そして、海水を3日かけて煮詰めた『かん水』という塩分濃度の高い水溶液を、2~3日静置します。

この静置により、カルシウム分が沈殿します。

沈殿したカルシウムを除くことが塩の結晶化には非常に重要で、その上澄みの水溶液を、釜に入れ、更に1日火にかけることで、塩の結晶が出てきます。

塩づくりをする西村さん
(かん水を加熱して出て来た塩の結晶)

この塩の結晶を釜から取り出し、さらに3日ほど、木箱に入れて静置します。

木箱の中の様子
(木箱の中の様子。塩(固体)とにがり(液体)を分離する構造になっている。)

そうすると、にがりと塩の結晶に分かれます。

3日間、木箱に入れた塩の結晶を取り出し、8時間ほど乾燥機にかけると、ようやく「琴引の塩」の完成です。

3日かけて炊き上げて「かん水」を作り、

2〜3日かけて静置してカルシウムを分離させ、

また1日かけて炊き上げて塩を結晶化させ、

また3日かけて静置してにがりと塩の結晶を分離させ、

8時間ほどかけて乾燥させて

ようやく完成!

という2週間近い手間と労力をかけて、作りあげる琴引の塩は、旨味のある味わいの塩です。

この「琴引の塩」づくりをダイジェストで体験できる、my塩づくり体験では、かん水から塩を取り出す作業を、カセットコンロと鍋を用いて行うことになります。

「my塩づくり体験」がスタート

では、実際の体験の様子をお届けいたします!

カセットコンロに鍋が置いているシーン

まずは、かん水を鍋に入れて火にかけます

強火で5分ほど加熱すると、少しずつ鍋の周りに塩の結晶が出てきます。

鍋のまわりに塩の結晶が出てきているシーン

更に5分ほど加熱すると、塩の結晶がどんどん増えてきます。

計10分ほど加熱した塩をざるに移して、にがりと塩の結晶を分離させます。

ザルで塩の水気をとっているシーン

その後、塩にまだ少し水気が残っているため、塩を再度鍋に移して水気を切ります。

この工程が、塩づくりの中の乾燥に当たる工程です。

10分ほど加熱すると、塩の水気がなくなってきます。

あとは、好みの加減で水を飛ばして完成!

塩が出来上がったシーン
(最終的に、このようなさらっとした塩の結晶が出来上がります。)

出来立ての塩を食べさせてもらいましたが、旨味があって、なんとも美味しい!!!

普段はあまり意識しない塩の美味しさに気づかされます。

塩の味についてもお話を伺ったところ、天然の海塩には、取水地の違いにより、海水に含まれているミネラル分が異なるため、味の違いが生まれるとのこと。

なるほど、塩の味に違いが出る理由には、海水に含まれるミネラル分が関係していたのですね。

こちらの『琴引の塩』は、おにぎりや天ぷらはもちろんのこと、お刺身と合わせても素材の良さを引き立ててくれ、美味しいとのこと。

ちなみに鍋の加熱の具合にもより、同じ量のかん水からとれる塩の量が異なるそうです!

友達や家族と一緒に、誰が一番たくさん塩を作れるか競ってみるのも楽しそうですね。

出来上がった塩

出来上がった塩は、myボトルに詰めて持ち帰ることができます。

家でどんな料理に使おうが、帰り道にワクワクできるお楽しみのお土産となりました。

身近な調味料「塩」の見方が変わるかも

今まで『なんとなく』塩が海水から出来ているということは知っていても、このような様々な工程を経て、塩が精製されているということは知りませんでした。

そして、塩の特徴についても、実際に製造されている方からお話を伺って理解を深めることが出来ました。

ちなみに、丹後エリアでは、こちらの『琴引の塩』を使ったスイーツやお土産、お料理を様々なところで目にします。

塩づくり体験の後は、琴引の塩を使ったお料理やスイーツも、より一層美味しく感じるかもしれませんね!

旬の魚介や野菜等の美味しさをさらに引き立ててくれる『塩』は身近だからが故に、その製法や違いをあまり知らなかった調味料かもしれません。

地域の日常に残る塩づくりの体験に取り組んでみれば、日常の「塩」がまた違ったものに見えるかもしれません。

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