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1人前食堂・Maiさんのフードトリップ〜海の京都編〜【INE CAFE・伊根湾めぐり 遊覧船・向井酒造】

【伊根町】
1人前食堂・Maiさんのフードトリップ〜海の京都編〜【INE CAFE・伊根湾めぐり 遊覧船・向井酒造】

海と共に暮らす、舟屋風景の残る伊根

京都府北部に位置する「海の京都」。中でも漁業のまちとして栄えてきたのが、伊根町です。
日本人に最も馴染みがあるであろう「浦島太郎」の物語は伊根町発祥と云われており、伊根町本庄浜の浦嶋神社に残る「浦島太郎伝説」は日本書紀、万葉集にも記され、日本で最も古い伝説とされています。そんな神秘のまち伊根町を、人気YouTuberとして活躍する1人前食堂のMaiさんが訪れました。

郷愁に誘われる並みが広がる、伊根町

丹後半島北端のまち、伊根町。日本海に面した半島にありながらも、内側に大きく回り込んだ伊根湾には、静かな時間が流れています。


府内有数の漁業の町である伊根町を代表する風景が、湾を取り囲むように軒を連ねる舟屋群です。舟屋とは1階が船のガレージ、2階が居室となっている建物のこと。江戸時代から続いてきたと言われる独特の造りをした建物は、今もなお伊根町の人々にとって生活の場です。 海側から見ると、まるで海に浮かんでいるかのようにも見える舟屋群。漁業と生活とが一体となって発展した建物からなる町並みは全国的にも珍しく、国の重要伝統的建造物群保存地区として選定されています。


海や空に照らされて浮かび上がる舟屋は、まるで別世界に迷い込んだかのように錯覚するほど神秘的。郷愁に誘われる風景が広がっています。


ゆったりとした時間を過ごす絶景カフェ「INE CAFE」

伊根町を訪れたMaiさんがまず向かったのは、伊根町観光交流施設「舟屋日和」の一角にある「INE CAFE」。伊根に来た人がゆっくり風景と食事を楽しめる場所をつくろうと、地元の人たちが2017年にオープンしました。

伊根湾をぐるりと囲む舟屋群。行き交う船。鳥の声。一面ガラス張りの店内からは、刻々と移ろいゆく伊根の景色を眺めることができ、ゆったりとした時間が流れます。

「ここから舟屋を一望できますね。エメラルドグリーンの海が神秘的です」(Maiさん) お昼時の訪問だったので、ランチをいただくことに。注文したのは「INE CAFE」の名物、アヒポキ風海鮮丼です。 「日によって使ってる魚の種類が違うんですよ。今日はブリとタイです。どちらも今朝まで目の前の海で元気に泳いでいました」とINE CAFEの田中さん。


「これから食べる魚が、目の前に広がる海で獲れたものなんて、すごく贅沢ですね。一般的にアヒポキ丼はマグロのイメージがありますが、こちらのアヒポキ丼は伊根で上がった魚が贅沢に使用されていて、モネをはじめ印象派の画家の絵みたいないろどりで可愛らしいです」(Maiさん)


「ブリとタイ、そしてアボカドの組み合わせは最高です。タイは歯ごたえがあって、ブリはしっかり脂がのっています。すごく美味しいです」(Maiさん)赤酢を使用しているという酢飯の甘みとごま油の香りがさらに食欲をそそります。 11月から3月までは、旬のブリ丼もランチメニューに登場。旬の時期にも訪れたいお店です。

(ランチをいただいた後はテラスで撮影会。穏やかにたゆたう水面がきらきら光ります。)

(行き交う船にもごあいさつ。)


海から舟屋を望む、贅沢な時間「伊根湾めぐり 遊覧船」

ランチを楽しんだ後は、海沿いの道を車を走らせ、「INE CAFE」から5分ほどの場所にある「伊根湾めぐり 遊覧船」乗り場へ。ここでは遊覧船に乗って、約5kmにわたる舟屋群を海から眺めることができます。伊根湾は日本海側にありながら南に開けており、三方を山と島で囲われているため波もとても穏やかです。  「船に群がるカモメに餌をあげることもできる」とガイドさんから聞いて、Maiさんは乗船前に餌を買って乗り込みます。

(沖へ出るとさっそくカモメの群れがお出迎え。餌を投げると上手にキャッチしていきます。)


「海風がすごく気持ちいい。陸から見るよりも、舟屋を一望できますね。1階のガレージに船が入っているのもしっかり観られます」(Maiさん)


遊覧船に揺られた約25分間。ブリを養殖する定置網、赤い灯台、山に祀られた神社など、数々の伊根の名物スポットをガイドさんが案内してもらいながら、360°ぐるっと伊根町を見渡すことができました。


「陸からは、舟屋から広がる壮大な海の広がりが観られ、海の恩恵を受けながら暮らしを豊かにさせているんだなと思いました。一方、海から舟屋を見てみると、江戸時代から今まで残ってきた舟屋の歴史の重みが伝わってきましたし、伊根町に住む人達の暮らしを客観的に見ることができました。遊覧船で沖に出ることで、普段は立てない視点に立つことができて人目線と海目線、どちら側も感じられて面白かったです」(Maiさん)



世界が認める小さな酒造「向井酒造」

人目線と海目線、どちらからも伊根の町並みを堪能したMaiさんは、遊覧船乗り場からほど近い「向井酒造」を訪れました。

ここは創業1754年、地域の人から愛される小さな酒蔵です。令和元年に開催された「G20大阪サミット」の昼食に、京都府産古代米の赤米を使った赤い酒「伊根満開」がふるまわれたことから、一躍有名に。今や連日観光客が訪れる人気スポットです。  到着すると、「きっと、うちが日本で一番海に近い酒蔵です」と豪快に笑いながら、杜氏の向井久仁子さんがお出迎えしてくれました。


「伊根湾を一望できる仕事場だなんて羨ましいです。お酒の匂いと磯の香りが一緒に香ってきて不思議な感覚です」(Maiさん)   木造2階建ての酒蔵に足を踏み入れると、蔵人さんが忙しそうに働いています。訪れた時は、ちょうど発酵の真っ最中。普段は非公開とのことですが、今回は特別に2階に上がり発酵過程を見させていただきました。


「シュワシュワって音が聞こえます。洋梨みたいにほんのり甘くて爽やかな匂いですね。嗅いでいるだけで酔ってきちゃいそう」(Maiさん)

「今仕込んでいるお酒は、ぐいぐい飲めるようキレを大事にしているタイプ。酵母が元気だとキレのあるお酒に仕上がるんですよ」と向井さん。酒造りにかける思いやこだわりをお伺いしていると、あっという間に時間が過ぎ去っていきました。

いつの間にか日も沈んで、海面に映る灯りがとてもきれいです。酒蔵見学で酒造りについて教えていただいた後は、お待ちかねの試飲タイム。今回は特別に向井さんおすすめのおつまみもたくさんご用意いただき、伊根湾を眺めながらお酒とのペアリングを楽しみます。


「うちで一番辛い酒『豊漁 純米 超辛口』とイワシのオイルサーディンがよく合うんです。食べて飲んで、やめられなくなる組み合わせです」と向井さん。薦められたペアリングはどれも絶品です。古代米で作った赤い酒粕も、プルーンのような味わいでナッツや蜂蜜と合わせて食べるのがおすすめなんだそう。


「あんまりたくさん飲めなくても、少しずつ食べて飲むのが楽しくて、止まらなくなってしまいそうです」(Maiさん)

伊根のへしこ(鯖のぬか漬け)もいただいて、ほろ酔い気分で楽しいひと時を過ごしました。

(最後に、お手伝いをしてくれた息子さんもいっしょに記念撮影。)

ゆったり静かに過ごす、伊根時間

 「海のそばの暮らしを見たのは初めてだったので、新鮮でした。写真スポットも名所もあるけれど、観光地化しすぎていないところが逆に心地よく感じました。海と共存する人の生活は見応えがありました。美味しいお魚やお酒におつまみと、なんでも揃う伊根は最高の旅行地でした」(Maiさん)

伊根湾の穏やかさのように、ゆったりと流れる伊根時間。エメラルドグリーンの海に浮かぶ舟屋群を眺めながら、海の恵みからつくられたお酒と料理をしっとり味わう休日はどうでしょう。

メイン
<旅した人> 1人前食堂 Mai 1995年生まれの料理愛好家。子どもの頃から大の料理好き。2019年6月から「心ときめく食材とレシピに出会う日々」をテーマに、「1人前食堂」と名づけたYouTubeチャンネルを開始。自分のためにつくった料理を美味しそうに食べる動画が注目を集める。料理工程が丁寧でわかりやすく、独特の映像のセンスや、思わず聞き入ってしまうナレーションが人気。スパイスやハーブ、発酵食品など、食材や調味料に詳しく、さまざまなレシピの提案を行っている。チャンネル登録者数80万人。大阪出身。大学時代を京都で過ごし、現在は東京在住。

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