【京都・福知山】校庭がいちご畑に!? 「THE610BASE」で味わう絶品いちご
福知山市
作る人が楽しみ、訪れる人も笑顔になる農業を目指して
福知山市の山あいにある、かつての中六人部(なかむとべ)小学校。その校舎をリノベーションして生まれたのが、「THE 610BASE(ムトベース)」です。校庭だった場所にはいちごハウスが広がり、訪れた人はいちごの収穫を楽しむことができます。校舎内には、おしゃれなカフェやクラフトビールの醸造所も併設。運営するのは、電気設備の卸売販売などを手がける井上株式会社。農業とは一見接点がないようにも思えますが、そこにはある“合言葉”がありました。作る人が楽しみ、訪れる人も笑顔になる―そんな農業を目指す想いが、この場所には息づいていました。

校庭で味わえる、4つのいちご
いちごハウスに一歩足を踏み入れると、まず感じるのはその広さ。
7棟をつなげたハウスは、2100平方メートルもの敷地を有しています。

通路はゆったり、車椅子でも通れる幅が確保されています。植わっている高さが1メートルほどあるので、かがまずに収穫できます。いちご狩りを「誰でも楽しめる体験」にしたいという考えが、空間づくりから伝わってきます。
栽培されているのは、「紅ほっぺ」「かおり野」「ほしうらら」「恋みのり」の4品種。時期によって食べ比べができるのも魅力のひとつです。

ハウス内を飛び回るのは、受粉を担うマルハナバチ(めったなことでは刺されませんので大丈夫!)。農薬の使用量を抑え、自然に近い形で育てる栽培方法も、「いいものを届けたい」という姿勢の表れです。
もともと校庭だったこの場所は、日当たりや水はけが良く、農地としての条件に恵まれていたそう。
子どもたちが走り回っていたグラウンドは、いちごがのびのびと育つ畑へと姿を変えたのです。
いちごの魅力を、パフェで味わう
いちご狩りを楽しんだあとは、校舎内にあるカフェへ。かつて視聴覚室だったという空間は、天井の高さを生かした開放的な造りで、おしゃれな家具や照明が心地よい雰囲気を演出しています。

ここでいただいたのが、「紅ほっぺ」をたっぷり使ったパフェ。なんと1パック以上のいちごが使われているそう! スプーンを入れるたびに現れる真っ赤ないちごに、思わず頬が緩みます。

紅ほっぺは、甘みの中にほどよい酸味があるのが特徴。フレッシュないちごをそのまま味わうのはもちろん、クリームやアイスと合わせても、最後までいちごの存在感がしっかりと感じられました。畑で味わったいちごとはまた違う味わいを楽しめるのも、ここならではの体験です。
THE610BASEの軸となる合言葉「FUNMER」
「この場所を一言で表すなら?」と尋ねると、すかさず「ずばり、FUNMERですね」と答えてくれたのはリーダーの森翔平さん。

FARMER(農家)に、FUN(楽しい)を掛け合わせた造語で、この場所を支える大きな軸となる合言葉だといいます。
いちごの栽培やカフェの運営、廃校を活用した場所づくりまで―。
数多くの試行錯誤や挑戦の根底にあるのは、「誰かの“楽しい”を勝手に定義するのではなく、まずは自分たちが心から楽しむこと。その姿勢が、結果的に訪れる人の笑顔につながれば」という想いが込められています。

「あるだけでいい」と言われる存在に
中六人部地区は、お店がほとんどなく、あるのは自動販売機がいくつかだけ。森さんが初めてこの地を訪れたとき、その静けさに驚いたといいます。
そんな中六人部地区で、当時、「中六人部ってどんな場所?」と聞かれると答えに困っていた地域の方が、最近では「THE610BASEがあるところ」と話してくれるようになってきたといいます。
「いつしか、“一事業者”を超えて、地域に根差した“住民のひとり”として僕たちを受け入れてくれた、それが本当に嬉しいですね」と語ってくれました。

人の人生に関われる場所
5年前から、六人部の中学校で授業も行っているという森さん。
FUNMERの考え方や、「お客さんに喜んでもらうこと」「地域と楽しく関わること」を伝えてきました。

その授業を受けていた生徒の一人が、高校3年生になった際、就職先の選択肢の一つに井上株式会社を挙げてくれたことがあったそうです。
「授業を通して、その子の人生が少し変わったのかなと思えたことが、何よりうれしかったですね」
THE610BASEが生まれたことで、これまで出会えなかった人との縁が、確かに広がっていました。
THE610BASEから中六人部を元気に
今後、力を入れていきたいテーマのひとつは、農業そのものをさらに深めていくことだといいます。高齢化が進み、耕作されなくなった農地が増えつつある中六人部地区で、農業を広げることで、地域が抱える課題を少しでも支えていきたい。
これまで出会ってきた人たちは、数えきれないほど。そのご縁をもう一度つなぎ直すように、関わってくれた人たちを巻き込みながら、「その人のためになること」を形にしていく。そして、中六人部という地域の魅力を、全国へと発信していくことも、大切な役割だと考えているそうです。

最後に、これから訪れる人へのメッセージをお願いすると、森さんは笑顔でこう締めてくれました。
「ここの人たちは、みんなコミュニケーションが上手。ぜひ一度来て、会話を楽しんでほしいですね」
校庭だった場所で育ったいちごを味わい、言葉を交わし、楽しい時間を過ごす。
これから旬を迎える絶品のいちごを堪能できるのはもちろん、THE610BASEだからこそできる体験が、あなたの新たな出会いの場になるかもしれません。

◉THE610BASE
〒620-0836 京都府福知山市字大内1767(旧中六人部小学校)
TEL:0773-20-2015
受付時間:10:00~16:00
定休日:月曜日・火曜日 ※都合により臨時休業の可能性あり
[公式HP]https://fields-the-base.jp/


