【京都・大原野】“自然”を味わう、心と体にやさしい絶品フレンチ ― Restaurant Spontane(スポンタネ) ―
京都市西京区
フレンチ一筋50年 「大原野で出合った“理想の一皿”」
京都市西京区―自然豊かな田園風景が広がる大原野地域。その旧街道沿いに佇む、日本家屋を改装したフレンチレストラン「Restaurant Spontane(スポンタネ)」。 この店で腕を振るうのは、フレンチ一筋50年のオーナーシェフ・谷岡博之(たにおか・ひろゆき)さん。京都は宮川町での営業後、「良い野菜が育つ理想の土地」を求めて、たどり着いたのが里山広がる大原野の地。 「土がきれい。ここなら、食材と真摯に向き合えると思ったんです」 この地で育つ野菜と向き合いながら、目指したのは“自然を味わえるフレンチ”。1日わずか7組限定(ランチ5組/ディナー2組)で提供される、そのこだわりの想いとは―。

築110年~ 和の趣と自然が響き合う贅沢なひととき
表玄関の暖簾(のれん)をくぐると、日本庭園の緑が目に飛び込み、数寄屋づくりならではの木の温もりに包まれた和の空間が広がります。築110年を超える古民家は落ち着きを醸し出し、窓の外に広がる折々の景色は、訪れる人を静かに迎えてくれます。

「お客さま一人一人と向き合い、ゆったりとした時間を過ごしていただきたい」そう語る谷岡シェフ。昼は庭園の緑が料理を鮮やかに引き立て、夜はやわらかな灯りと虫の音が幻想的な世界を演出。
「リラックスして、食べ終えたあとに『うまかったな』と心から言っていただけたら、それが一番うれしいですね」

その言葉の通り、庭を眺め、風に揺れる木々の音を感じながら味わう料理は、シェフの想いをのせてそっと心に沁み入ります。味覚だけでなく、視覚や聴覚までも満たされる―ここで過ごす時間そのものが、ひとつのコース料理のように。
※取材日(9月4日)には、秋の訪れを告げる鈴虫の音色が響き、季節の移ろいを感じさせてくれました。
野菜が主役のコース料理 〜自然の恩恵そのままに〜
店名の「Spontane(スポンタネ)」は、フランス語で“自然な・自発的な”という意味。その名の通り、味わえるのは、「自然が持つ力」を最大限に引き出した料理です。

無農薬で育てる自家菜園の野菜をはじめ、地元農家が丹精込めて育てた旬の食材を中心に使用。谷岡シェフ自らが畑に立ち、栽培から収穫まで手がけるほどのこだわりです。

「採れたての野菜は、それ自体が“最高のソース”。料理を完成させる調味料なんです」と谷岡シェフは語ります。

さらに、フレンチでありながら、バターや生クリームは極力使用しません。「バターや生クリームが悪いわけではありません。ただ、厳選した食材を使えば、多く加える必要がないだけなんです」

朝採れの野菜を、色鮮やかで香り豊かな一皿へと昇華した料理は驚くほど軽やかで、「90歳を超える方でもコースを最後まで楽しめる」と評判とのこと。まさに、心も体も喜ぶ“自然派フレンチ”を体現しています。


フレンチ一筋「半世紀(50年)」 〜未来へのまなざし〜
谷岡シェフが料理の世界に足を踏み入れたのは19歳のとき。以来50年、ひたすらフレンチと向き合い続けてきました。ホテルや専門店で本格フレンチを提供する日々を経て、「もっと自由に、素材と向き合える料理がしたい」という想いから、2013年、大原野で人生の集大成ともいえる店を構えます。

「これからの目標は?」と尋ねると、シェフは少し笑みを浮かべて「ないです!」と一言。肩肘を張らず、ただ目の前の食材と真摯に向き合い、自然に身を任せる姿は、まさに“自然”を体現したシェフ自身のあり方そのもの。料理が持つ温かさや優しさは、そんなシェフの人柄から生まれているのかもしれません。

一方で、自らが積み重ねてきた経験と哲学は、未来の料理人へとしっかりと手渡していきたいと語ります。
「若い料理人には、地道に学びながら引き出しを増やしてほしい。フレンチだけでなく、あらゆる料理を食べ歩き、いいと思ったものはどんどん吸収してほしいですね」
その言葉には、未来を担う後進への温かなまなざしが込められています。
半世紀にわたり磨き上げてきた技術と想いは、訪れる人々の喜びとなるだけでなく、これからの料理人たちへのエールとしても息づいていくでしょう。

◉レストラン スポンタネ
〒610-1121 京都市西京区大原野上里北ノ町697-1
[電話予約]075-874-5551
※前日までのご予約をお願いいたします。
[受付時間]9:00~11:30/15:00~21:00
[営業時間]LUNCH TIME 12:00~15:00/DINNER TIME 18:00~22:00(CLOSE)
[定休日]月曜日、火曜日(月曜日が祭日の時は火曜日、水曜日)
[公式HP]https://www.spontane.org/

