【京都・大原野】夜、輝く野菜を求めて 日本唯一の“ナイトファーム” 農業の未来「照らす」
京都市西京区
ライトアップされた農園で京野菜体験!
京都市中心部から車で30~45分-自然豊かな京都市西京区大原野。虫の音の響く夜空の下、旬の野菜を収穫できる「BNRナイトファーム」では、約1,000個のLEDライトに照らされた農園を巡り、旬の野菜をその場で調理できます。採れたて新鮮なままでの丸かじりはもちろん、炭焼き、石窯でのピザづくりまで、子どもから大人まで「たのしい!おいしい!」を体験できます。運営する一般社団法人「BNR」は朝から深夜になるまで額に汗して参加者たちを迎えてくれます。労を惜しまない理由を探ると、新たな農業の発信方法を通じて、たのしみながらも、日本の農業の未来に“光”を当てようとする真摯な姿が見えてきました。
京の伝統野菜-万願寺とうがらしや賀茂なすなど色とりどりの旬野菜を採り放題!

市内の小学校で終業式があった7月18日の夕暮れ。約2千平方メートルの農園には親子連れをはじめ続々と人が集まってきます。キュウリやナスを見つけると「見つけた!大きい」とあちらこちらで歓声が。用意されたかごはすぐに緑や黄、赤など色鮮やかな旬の野菜でいっぱいになります。

ナイトファームでは、収穫用の手持ちかごのほか、長靴や手袋、剪定ばさみも用意されているので、誰でも気軽に参加できます。この時期に収穫できるのは、万願寺とうがらしや賀茂なすなどの京の伝統野菜をはじめ、約20種類の野菜。すべて採り放題で楽しめます(※)。
(※)採りすぎても大丈夫!
【お土産付き】2,000円相当の夏野菜をお持ち帰り。ご自宅でもBNRファーム自慢の野菜を存分にご堪能ください。 また、採りすぎて余ってしまった野菜は児童養護施設へ寄付されるので安心!

中でも、BNRが長年の研究を重ねたという、うまみと甘みが最大限に引き出された千両なすはオススメ。大原野地域は土壌が粘土質でナスづくりに最適な風土。地元の特産として親しまれてきました。

収穫を終えると早速ピザづくり。用意されたガーリック入りミニトマトソースを生地に塗り、一口大に切ったナスやオクラ、ピーマンをちりばめます。具だくさんで食べ応えがあり、火を通すと野菜の香りや風味がグッと強くなって食欲をそそります。オプションのサラミやベーコン、魚介類も、採れたて野菜と相性ぴったりです。
ファームに来れば、みんな「野菜大好き」に

実は、子どもが嫌いな野菜の代表格がナス。ですが、農園に来た子どもたちからは違った反応が。代表理事の寺島美羽さんは「来園するまでは、野菜嫌いだった子が『全部食べた!』という姿に、親御さんも喜んでくれることが多いので、うれしいですね」と教えてくれました。ナス以外も、キュウリやオクラ、ミニトマトの「アイコ」を丸かじり。ここでは、野菜嫌いだった子どもも野菜好きに変わります。
夏の思い出 いつか食と農の関心に

ナイトファームは2023年夏、「農業の楽しさを知ってほしい」との思いで始まりました。翌年にはテレビ番組で紹介され、京阪神から多くの人が訪れるように。今年はさらにパワーアップし、テーブル数を5倍に、また、1日2組限定で解説付きプレミアムコースも始めました。
ただ、農園に響く参加者の楽し気な歓声とは裏腹に、厳しい暑さの中での運営は大変。参加者が帰った後も、畑のメンテナンス。近年の天候不順も加味して水やりの加減を調整するなど、細やかな気配りが求められます。

それでもナイトファームに力を注ぎ続けるのは、「気候変動に関心を持ってもらい、持続可能な農業を実現したい」という思いがあるからです。
「子どもたちが、いつか夏の思い出を振り返ったとき、農業や食の大切さに気づいてくれたら」――。
そんな願いを胸に、寺島さんたちは、新たな農業のカタチを模索し続けています。

この夏、京都市内から一足延ばすだけで体験できる「たのしい」収穫体験、そして、なにより自分の手で収穫して食べる、そんな「おいしい、うれしい」ピザづくり体験はいかがですか?
きっと忘れられない「食の旅」の思い出になることでしょう。
★「BNR」って、いったい何の略!?
Nは「ナス」、じゃあBとRは…?
正解が気になる人は、農園で答え合わせしてね!