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【京都・京丹後市網野】鯖おぼろと多彩な具材!丹後ばらずしを求めて
【京丹後市】魚介もお米も美味しい丹後に伝わる、ハレの日のご馳走
京都府の最北に位置し、宮津市、京丹後市、伊根町、与謝野町という2市2町からなる丹後地域。とり貝、岩がき、アサリ、サザエなど日本海で育った魚介のみならず、山々から流れる清らかな水で栽培された丹後コシヒカリや野菜なども豊富な食材の宝庫です。そんな丹後を語る上で欠くことができない郷土料理・丹後ばらずしが今回の旅のお目当てです。
大量に獲れた鯖を甘辛いおぼろに
錦糸卵の黄色、カマボコのピンク、紅生姜の赤紫など、彩りよく具材を盛り付けた丹後ばらずし。
お正月やお祭りの日、長寿のお祝いなど、家族や親戚が集まったハレの日のご馳走です。一般的なちらし寿司と大きく違うのは、甘辛く味つけた鯖のおぼろを使っているところ。ひと昔前までは、近郊の海で大量に獲れた鯖で調理するのが当たり前。どの家庭でも焼いた鯖を細かくほぐし、しっかり炒め煮したおぼろを使っていましたが、戦後以降は缶詰の鯖が使われるようになりました。時代や環境が変わっても丹後ばらずしの文化は絶えることなく、今も大切に受け継がれています。
丹後の恵みを多彩な料理で発信
今回、京都市内から2時間ほど車を走らせて向かったのは、京丹後市網野町にある[とり松]。丹後ばらずしを伝承し、地元で愛されてきた名店です。
「丹後の良質な食材をもっと気軽に楽しんでほしい」と、2023年に建物もスタイルも現代的にリニューアル。1階ではこれまで通り会席など正統派な和食でもてなし、2階の麺とカフェテラス[MATSUTARO]には、海鮮を主役にしたパスタや刺身定食などカジュアルなメニューが揃います。
地元の人も、ドライブ中の人も、それぞれのシーンに合わせて丹後グルメを楽しんでいます。
1階のピカピカの厨房に立つ料理人の小幡さんも、久美浜出身。一度、料理修業のため地元を離れたことで、より丹後の食材の良さを実感したそうです。
「魚も野菜も新鮮ですし、丹後のコシヒカリは格別です。すばらしい食材を集めてもお値打ちな価格で提供できるのもありがたいです」
懐かしい家族の記憶を呼び覚ます
この日は特別にばらずし作りを見学。まつぶたと呼ばれる木箱にすし飯、かんぴょう、鯖そぼろ、再びすし飯…とミルフィーユのように重ね、手際よく色とりどりの具材が盛り付けられていきます。
大人数にふるまう郷土料理ならではの量ができた後は、木製のへらで切り分けるのがお決まり。天橋立やカモメなどが描かれた特注の有田焼のうつわに盛り付けた丹後ばらずしは、一見すると押し寿司のよう。ですが、食べるとそれぞれの層がふんわり重なっていて、想像以上にやさしい口当たりです。
手間暇かけて作られる丹後ばらずしは、全国各地の催事や講習でも大好評。初めて食べた人に知っていただくと嬉しいし、丹後を離れて久しい人に懐かしがっていただけることも、郷土料理を守っていくモチベーションにつながるそうです。「大分に出張して現地で講習をした時のこと。参加してくださった方がどうやら丹後の出身だったようで、鯖のおぼろが記憶を呼び覚まし、無性に地元に帰りたくなった、と感想をくださいました」と小幡さん。
「すし酢をまぶす時、うちわであおぐ役目をしたな」「おばあちゃん自家製の紅生姜はピリッと美味しかった」。丹後生まれであってもなくても、大切な人と過ごした時間を思い出させてくる。丹後ばらずしにはそんなあったかい気持ちを思い起こさせる魅力がありました。
📍店舗情報
とり松(とりまつ)
MATSUTARO(マツタロウ)
☎︎0772-72-0429
京都府京丹後市網野町網野146
(とり松)
月・金曜 11:30〜15:30(LO/14:30)
土・日曜 11:30〜15:30(LO/14:30)、18:00〜21:00(LO/20:00)
※昼は事前予約制
(MATSUTARO)
月・金・土・日曜 11:30〜15:00(LO/14:30)
両店とも火・水・木曜休
https://torimatsu.jp/
https://www.instagram.com/torimatsu.matsutaro/