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自然豊かな“森の京都”で絶品ジビエや京の伝統野菜を満喫
【亀岡市・南丹市】明智光秀ゆかりの城下町や日本の原風景が残るかやぶきの里で舌鼓
京都府中部の“森の京都”は、古くから京の都の繁栄を支え、自然と共に営む人々の暮らしと文化が息づくエリア。豊かな森と山から湧き出す清らかな水は、ブランド肉やジビエ、京の伝統野菜など多彩な食を育んできました。そんな森の京都から、今回は亀岡市と南丹市の旅へご案内します。
光秀の思いが去来。「丹波亀山城址」
明智光秀は、今では研究が進み、領地では治水事業や地税免除などの善政を行い、領民からとても慕われていたとか。 そんな光秀が天正7(1579)年頃に築き、築城を機に町が発展していった「丹波亀山城」の城址を見に、「京の奥座敷」と称される亀岡へ。
▲亀山城址の石垣。手前角の部分が、安土桃山時代に積まれたとされる
明智光秀は、天正3(1575)年に丹波の平定に着手。亀山城の築城後、天正8(1580)年に丹波国を拝領し、城下町の整備を進める中、本能寺の変ではこの城より出発。山崎の合戦で落命したとされますが、その後も諸説がある程ミステリアスな生涯でした。 城については羽柴秀俊(小早川秀秋)の修築や、築城の名手、藤堂高虎が五重層塔型天守を築き、慶長15(1610)年頃に城郭と城下町が完成。明治維新後の廃城令による天守の解体後、所有者が転々とし荒れるに任せていましたが、現在の所有者・宗教法人大本(おほもと)が入手後、石垣などを修復し、25,000坪の敷地を管理。石垣や堀は拝観料お一人300円で見学することができます。
▲城の石垣ではおなじみの刻印。55箇所17種類あり、天下普請に参加した諸国の大名が刻んだそう。
ちなみに、亀岡市にあるのに亀山城となっているのは、元は亀山の名であったこの地を三重県の亀山と混同しないよう、明治時代に亀岡と改称したからなのです。
▲神苑を進んでいくと現れる「万祥殿」、奉献箱前では誰でも参拝が出来るそう。
〈information〉
丹波亀山城址
住所:京都府亀岡市荒塚町内丸1
電話:0771-22-5561
時間:9:00~16:00(受付は15:30まで)
休み:月曜(月曜が祝日の場合は営業、翌日休み)、年末年始
料金:お一人300円(中学生以下は無料)
URL:https://oomoto.or.jp/wp/kameyamajoushi/
城下町に見る江戸の面影
▲120年以上の歴史がある「丹山酒造」。なまこ壁が印象的
光秀の時代に基礎がつくられ、江戸時代に発展した亀岡の城下町。京格子の町家などの古い建物が残り、今でも歴史の重みを感じられる散策ができます。
▲明治2(1869)年創業の「関酒造」。時代劇にそのまま使えそうな風情
現在も「亀岡光秀まつり」や「ききょうの里」といったイベントが開催され、地元の人々に愛され続けている光秀。
▲豊臣の紋入りの「春日燈篭」は亀山城から移設されたそう(写真中央)
亀山城から移したと伝わる、安土桃山時代の石燈籠や井筒を見られるのが「楽々荘」(現在は「がんこ亀岡 楽々荘」)の庭園です。ここは、丹波と京都を結ぶ京都鉄道(現在の嵯峨野トロッコ列車)を敷設した名士、田中源太郎の旧邸でもあり、日本庭園は、かの七代目小川治兵衛作。
▲彩豊かな旬の味覚を堪能できる「がんこ亀岡 楽々荘」
店の営業時間内なら食事無しでも見学可。見学希望の場合は、お店の方に一言声をかけてくださいね。
〈information〉
がんこ亀岡 楽々荘
住所:京都府亀岡市北町44
電話:0771-56-8880
時間:11:00~15:00(L.O. 14:30)、17:00~21:00(L.O. 20:30)※土・日曜・祝日11:00~21:00(L.O.20:30)
休み:なし
URL:https://www.gankofood.co.jp/shop/detail/ya-kameoka/
▲「城下町歴史街並み案内所」は「本町・町家カフェ」も併設。一休みにもぴったり
「城下町歴史街並み案内所」では情報収集やガイドの依頼が可能です。亀山城址をはじめ、ガイドツアーでお話を聞けば、約1時間の市街散策がより楽しめること間違いなし。ガイドツアーは予約なしでも大丈夫ですが、事前予約しておくと安心です。
〈information〉
城下町歴史街並み案内所
住所:京都府亀岡市本町51
電話:0771-55-9493
時間:10:00~17:00(12~2月は16:00まで)
休み:火・木曜(祝日の場合、3~11月は営業)、年末年始
料金:1時間あたり税込1,500円 ※原則としてガイドの利用時間は10:00~17:00、そのほかは事前了解が必要。案内に必要な交通費、拝観料、入館料、食事代などは実費負担
URL:http://www.kameoka.info/charm/cafe/
初体験。でも、どこかノスタルジックな「美山かやぶきの里」
多くのかやぶき屋根の民家が残る南丹市美山町は、「美山かやぶきの里」と呼ばれ、なかでも知井地区・北村には、39棟のかやぶきの家が林立し、日本の原風景が息づいています。
写真提供:(一社)南丹市美山観光まちづくり協会
▲例年4~5月にはレンゲの花が咲き乱れる
写真提供:(一社)南丹市美山観光まちづくり協会
▲毎年、年2回行われる一斉放水の日は、大勢の観光客でにぎわう
集落の中を通る道は、福井県と京都府を結ぶ鯖街道の一つ。その歴史的景観の保存度の高さから、1993年には、重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
写真提供:(一社)南丹市美山観光まちづくり協会
ちょうど訪れた1月末は、「雪灯廊」イベントの真っ最中。民家のライトアップと、雪灯廊・路地行灯・LED灯廊の3種類の灯廊の明かりで、里は得もいわれぬ美しさでした。
この里は、そこで実際に人々が暮らして生活を営んでいる、「生きた里」。だからこそ、その景色がより印象的で、心に響いてくるのかもしれません。
写真提供:(一社)南丹市美山観光まちづくり協会
集落には2つのカフェと「美山民俗資料館」、2軒の民宿もあるので、ゆるやかな時間が流れる静かな里で、日々のストレスを洗い流してみませんか?
〈information〉
美山かやぶきの里
住所:京都府南丹市美山町北
電話:0771-75-1906(美山観光まちづくり協会 観光案内専用ダイヤル)
時間:散策自由(かやぶきの家は住居のため、見学の際は敷地内へ無断で入ったり、騒いだりしないよう注意)
URL:https://kayabukinosato.jp/
最高の猟師が獲った、最高の猪肉を堪能「美山自然文化村 河鹿荘」
美山の名物料理の一つが、猪や鹿などのジビエ料理です。ジビエとは「狩猟で獲った天然・野生鳥獣の食肉」という意味のフランス語。ヨーロッパでは貴族の伝統料理として愛され、もちろん日本でも長年食されてきた肉です。
▲美しい猪のロース肉は、まさに、ぼたんの花のよう。
今回は、人気ジビエ料理の代表格。ぼたん鍋をいただきに、「美山町自然文化村 河鹿荘」へ。
▲猪肉は11~3月の冬季限定での提供している「美山町自然文化村 河鹿荘」。ぼたん鍋の宿泊プランは2名以上から。
こちらのぼたん鍋は、名人と呼ばれる猪専門の猟師の方が獲った、最高の猪肉だけを使用。 肉の味や質は、狩猟法や解体法によって大きく変わるため、「信頼できるものだけを提供したいので、その人の獲った肉に限定しているんです」と、支配人の大野琢馬(たくま)さん。
▲身は驚くほど柔らかく、噛むほどに脂の甘みと肉の旨みが口の中に広がる
名人は最適な弾を使って銃で猪を仕留め、すぐに清潔な解体場で厳選した道具を使って処理をし、しっかり血を抜き、内臓を抜く穴を最小限にすることで、臭みのない肉に仕上げ、皮を極限まで薄くはぐことで、脂身をたっぷり残しています。 このようにこだわり抜かれた猪肉は、まったく臭みがなく、抜群の脂の乗り。しかも、その脂がとにかくあっさりしていて、思わず感動してしまうほど。
スープも美山味噌のコクが濃厚で、気づけばペロリと食べ終わっているほど。「猪の肉は臭くて固い」というイメージがある人にこそ、ぜひ食べてほしい逸品です。
▲肉の量はたっぷりあったのに、アクがほとんど出ないことにびっくり
天然の餌をたっぷり食べ、山を駆け回った猪は身が引き締まり、力強いおいしさは“森の京都”のジビエならでは。 こちらでぼたん鍋が食べられる宿泊プラン(大人2名1室税込13,640円~)は狩猟期間の11月から3月末までとなりますが、鹿肉などを使った「和のジビエ」が食べられるプラン(大人2名1室税込12,320円~)は、通年楽しめます。
かやぶき民家別館は一棟貸しで、10名以上で利用可能。8畳2部屋、6畳1部屋、囲炉裏つきの10畳1部屋、計4部屋があり、里山の暮らしを疑似体験できます。「美山町自然文化村 河鹿荘」は本館全12室と新館10室、写真のかやぶき民家別館1棟の計23部屋。
〈information〉
美山町自然文化村 河鹿荘
住所:京都府南丹市美山町中下向56
電話:0771-77-0014
時間:[チェックイン]15:00~、[チェックアウト]~10:00
休み:不定休
料金:
「和のジビエ」プラン(通年) 平日・日曜・祝日 大人12,320円、子供7,150円、 土曜・休日前 大人13,420円、子供7,700円/ 「ぼたん鍋」プラン(11~3月限定・2名~) 平日・日曜・祝日 大人13,640円、子供7,150円、 土曜・休日前 大人14,740円、子供7,700円 ※2名1室料金。1名1室利用およびかやぶき民家宿泊の場合は1人1,100円を上記料金に加算 ※すべて税込。その他プランはホームページを参照
森の恵みにしみじみと感謝して、大切な命をいただく里山ならではの貴重な体験。 一口食べれば、これまでのイメージが一転する絶品ジビエ。 季節ごとに美しい姿を見せてくれる森での癒し。 城址や城下町をそぞろ歩いて知的好奇心を満タンに。 さまざまな魅力であふれる“森の京都”を、ぜひ自分らしいスタイルで満喫してみてはどうでしょうか。