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自然豊かな京都・美山のオーベルジュで味わう地産地消の極上フレンチ

【南丹市】
自然豊かな京都・美山のオーベルジュで味わう地産地消の極上フレンチ

南フランスの田舎まちが体感できる美食の宿

近年、全国各地に個性豊かなオーベルジュが続々とオープンし、話題となっています。その先駆けとなったのが美山のオーベルジュナカザワ。
かやぶき屋根の民家が立ち並ぶ美しい景観が有名なこの地は、若狭からの海の幸、そして地元の里山の幸に恵まれた美食の宝庫。今から20年以上前にこの地に惚れ込み、関西初となるオーベルジュを美山に立ち上げたオーナーシェフの中澤守弘さん(以下、シェフ)に、オーベルジュにかける思い、そして美山の魅力を伺ってきました。

オーベルジュとは?

テーブルセッティングされたオーベルジュのイメージ写真

オーベルジュとは、宿泊施設を備えた地方や郊外にあるレストランのこと。グルメ大国・フランス発祥の文化で、なんといっても料理にフォーカスしたグルメな宿泊体験ができるのが魅力です。

[オーベルジュナカザワ]の外観

美山の静寂な山間に立つ[オーベルジュナカザワ]は、JR山陰本線「日吉」駅から南丹市営バスで約30分、『板橋』停留所下車すぐの場所にあります。道路に面してレストラン(上写真)、その奥にコテージ(下写真)が。

[オーベルジュナカザワ]の入り口

地元食材を活かした本格フレンチと、のどかなロケーション、そしてアットホームな接客が評判を呼び、県外からも常連さんが訪れる人気店です。

レストランもコテージも、仕上げ部分は2年がかりで家族みんなで作り上げたとのことで、温かくどこか親しみのある雰囲気を感じます。


心と体が喜ぶ地産地消のフランス料理でお客様を幸せにしたい

[オーベルジュナカザワ]のオーナーシェフ・中澤守弘さん

オーベルジュナカザワは「体が喜ぶフランス料理」がコンセプト。「半径16キロの食材を食べることを地産地消とし、その土地のものを食べると健康になる」という考えのもと、伝統的かつ素朴なフランス料理を提供します。料理の美味しさはもちろんのこと、雰囲気作りもとても大切にしています。

[オーベルジュナカザワ]の店内

シェフ曰く「僕が目指すのは、気楽に食事ができるビストロの雰囲気。オープンキッチンから届く料理の香りを嗅ぎ、美味しそうな調理音を聞き、のどかな自然を眺め、カトラリーの使い勝手を感じ、ゆっくり会話を楽しみながら味わっていただきたい。こういう贅沢なひと時がお客様の第六感を磨き、幸せへと導いてくれると考えています。もちろん特別な日は、静かな個室を利用していただくことも可能です」。

[オーベルジュナカザワ]のコース料理

オーベルジュナカザワのディナーメニューは、6,600円・8,800円・11,000円(税込)の3種類。

今回は8,800円のコースを注文。オードブル(2品)、エスカルゴ、スープ、ポアッソン(魚料理)、グラニテ(お口直し)、ビィアンド(肉料理)、キャフェ(デザート&コーヒー)まで全8品。

会話を楽しみながら、2時間かけてゆっくりとお料理を味わいます。メニュー内容は季節や仕入れ状況によって変わりますが、取材当日のフルコースの内容はこちら!

[オーベルジュナカザワ]の料理・サーモンとホタテのマリネサラダ

●サーモンとホタテのマリネサラダ

添えられたサラダは地元農家が朝摘みしたベビーリーフ。新鮮そのもので、オリーブオイルと香辛料の風味が豊かなドレッシングが美味しさを引き立てます。

[オーベルジュナカザワ]の料理・地鹿のテリーヌ

●地鹿のテリーヌ

鹿専門の精肉店から仕入れる鹿肉を使ったテリーヌ。鹿肉は脂肪分が少なくとってもヘルシーな食材。ジビエの美味しさを実感できる逸品です。

[オーベルジュナカザワ]の料理・我が家のエスカルゴ

●我が家のエスカルゴ

エスカルゴはオーベルジュナカザワの名物です。にんにく、エシャロット、コニャック、黒胡椒が効いたソースは病みつきになるお味!パンとご一緒に。

[オーベルジュナカザワ]の料理・バターナッツカボチャスープ

●バターナッツカボチャスープ

滑らかな口当たりと自家製コンソメとカボチャそのものの優しい味わいがお口に広がります。

[オーベルジュナカザワ]の料理・オマールと真鯛のポアレ

●オマールと真鯛のポアレ

最初のメインは魚介類からどうぞ。真鯛は、皮はパリパリ身はふわふわに仕上げられており、オマール海老はしっとりぷりぷり。絶妙な火入れ加減は、これぞ匠の技。真鯛はバターソース、オマール海老は海老の殻を煮込んで作った濃厚で奥深い味わいのソースでいただきます。

[オーベルジュナカザワ]の調理シーン

華やかさに加えて、素材の味を引き立てる立役者ともいうべきソースは、まさにシェフの真骨頂。自家製コンソメで炊いた、ほうれん草や白菜、大根など付け合わせの野菜は旨味たっぷりで美味しい。

[オーベルジュナカザワ]の料理・グラニテ

●グラニテ

お庭で採れた花梨をシロップに漬け込み、シャーベットに。いったんお口直しをして、次なるメインはお肉。お料理はクライマックスへ。

[オーベルジュナカザワ]の料理・牛フィレグリエ

●牛フィレグリエ

オマールと真鯛のポアレに続き、まるで芸術作品のような目にも楽しいメインディッシュ。国産和牛のフィレ肉に美しい焼き目を付けて、ミディアムレアに仕上げます。

牛肉をグリルしている様子

こちらのソースは、牛骨や野菜などを長時間煮込み手間暇かけて抽出したフォンドボーをベースに作ったデミグラスで、ポルチーニ茸のエキスを加えた芳醇なお味。あっさりとしたフィレ肉にコクのあるソースがベストマッチ。

[オーベルジュナカザワ]のデセール

●デセール

フルコースの締めくくりはデザートとコーヒー。ミルクの風味豊かなブランマンジェに、口どけなめらかなアイスクリームと季節のフルーツを添えて。最後までボリューム満点! 


開放感たっぷりのテラスでとっておきの朝食を!1日1組限定のコテージ

[オーベルジュナカザワ]のコテージの外観

食後はレストランに隣接するコテージへ。南フランスの田舎まちを彷彿とさせる愛らしいコテージは一棟貸し切りのスタイル。1日1組2名を基本とし、最大4名まで宿泊可能です。チェックインは15:30~17:00、チェックアウトは11:00。1名1泊2食付き21,780円(税込)~。

[オーベルジュナカザワ]のコテージの内観

1Fにはリビングとキッチン、広々としたユニットバスが。リビングの大きな窓を開けると解放感たっぷりのテラスが目の前に広がります。その向こうは、一面の田園風景。

2Fへと階段を上ると、おとぎばなしに出てくるような可愛らしい屋根裏部屋があり、ベッドルームになっています。

[オーベルジュナカザワ]のコテージのテラス席

テラスのソファに腰をかけて深く深呼吸。空気が澄んでいて本当に美味しい。

「目を閉じて耳を澄ませば、鳥のさえずりや風の音など自然の声が安らぎを与えてくれますよ。人目を気にすることなくパジャマのまま、テラスでゆっくりと朝食を召し上がってください」とシェフ。

[オーベルジュナカザワ]の朝食セット

朝食のセットは、ディナーのあと、シェフとマダムがコテージまで運んでくれます。翌朝、自分の好きなタイミングで調理するスタイル。

内容は、美山牛乳、サラダ(キュウリ、トマト、葉物野菜など)、ベーコン、地卵、そして京北町の人気店エルデのパン、自家製のコンフィチュール。朝からテーブルに乗り切らないほどのご馳走です!

[オーベルジュナカザワ]のコンフィチュール

農家から直接仕入れた無農薬のリンゴ(紅玉)をじっくりと煮詰めて作った昔ながらのコンフィチュール。絶妙な甘酸っぱさと、さわやかな香り、そして滑らかな舌触りがたまりません。毎秋店頭に登場し、なくなり次第終了。中瓶140g 1,680円、大瓶220g 2,415円。


美山は僕にとっての理想郷


フランス料理人となり、オーベルジュを美山にオープンするに至った経緯を伺いました。

シェフの中澤さんは1946年、京都市生まれの77歳。「祖父や父、叔父が板前だったことから、常に美味しいものが身近にある環境で育ちました。そして父は大の舶来物好き。幼い頃からずっとヨーロッパの文化に憧れがありました。これが僕の原点ですね」。

[オーベルジュナカザワ]のオーナーシェフ・中澤守弘さん

そんなシェフですが、中学から大学まで打ち込んでいたのは料理ではなく、なんと卓球。選手として数々の大会で好成績を収めました。大学卒業後、念願の料理の道へ。「料理の世界でも卓球と同じように努力すれば、きっと一流になれるという妙な確信がありました(笑)」と当時を振り返ります。最初に修業したのは、京都の洋食レストラン『菊水』。料理修業と並行して、知り合いの留学生からフランス語を習い語学の勉強にも力を入れます。

南仏の田舎まち・プロバンスの風景

その後、満を持してフランス修行へ。シェフが修行で訪れた中で、南仏の田舎まち・プロバンスがその後の人生を変えます。「プロバンス(上写真)は海の幸、山の幸も豊富で、ニース(下写真)やカンヌ、アルプスなどの有名リゾート地まで1時間ほどで行ける立地ということもあり、そこにはたくさんの素晴らしいオーベルジュがありました。料理を取り巻く文化に触れていつか日本でも同じような食の体験を届けたいと思いましたね。」

フランスの風景

その後もフランス各所で修業を重ね、帰京。35歳の時、京都で初となる本格フレンチが味わえるビストロ「シェ・ナカザワ」をオープンし、以来20年にわたり確固たる人気を誇りました。その後、家族を説得した上で美山に移住し、2000年に長年の夢であるオーベルジュを開業。なぜ、美山を選んだのでしょうか。

京都・美山のかやぶきの里の風景

「僕の中で、まさに美山が南仏・プロバンスと重なりました。世界に誇る観光地である美山のかやぶきの里に近く、京都市内からもアクセスがよく便利。鯖街道沿いにあり若狭の海まで1時間ほどだから、ジビエや野菜も豊富に揃う里山にいながら新鮮な海の幸も手に入る。まさにここが僕の理想郷なんです」とシェフ。さらに「美山は水と空気がすごく美味しくて最高!そして気候の寒暖差が大きいから野菜の旨味がたっぷり。一段と料理が美味しくなるね」と続けます。


長年の功績により「現代の名工」に選出、今後の目標とは

インタビューに応える[オーベルジュナカザワ]のオーナーシェフ・中澤守弘さん

関西で初となるオーベルジュをオープンしたシェフは、日本オーベルジュ協会の発展に尽力し、現在も常任理事を務めます。努力が実り今では全国に300以上のオーベルジュが。

また今年2023年11月には、厚生労働省が卓越した技能を持つ技術者を称える「現代の名工」にも選ばれました。国内においてフランス料理としてジビエを広めた先駆者として、ジビエの普及に努めたこと。そして京都フランス料理研究会の創設者として多くの料理人に技術の指導を行い、その中で技能の継承だけでなく、地元産の食材を大切にし、安全で安心な料理を提供する考え方を伝えてきたことなどが高く評価されました。

最後に、志高きシェフの今後の目標とは?「一人でも多くの若い方に移住してもらって、良き里山の暮らしを守り継いでもらいたいですね。そのためにも、できる限り長くオーベルジュを続けて、美山の魅力を伝えていけたらいいなと思います」

紹介情報

  • オーベルジュナカザワ
    TEL 0771-75-20010771-75-2001
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