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京都のスペシャルティコーヒーの先駆者「Unir本店」で日本最高峰の一杯を
【長岡京市】長岡京から全国に届ける本物の味と情熱
阪急電車の長岡天神駅から商店街と住宅街をぬけて徒歩20分。府道沿いに威風堂々と建つガラス張りの店舗「Unir本店」。2006年の創業以来、高品質のスペシャルティコーヒーを追求し続けている専門店。姉妹店も含め7店舗を展開し、焙煎店としても全国で100店舗以上にスペシャルティコーヒーを卸しています。
「スペシャルティコーヒー」という言葉自体、珍しかった時期からハイクオリティなコーヒーのみを取り扱ってきた代表の山本尚さんにコーヒーに対する思いや考えについて伺いました。
焙煎とバリスタ育成を行う本店にはカフェも併設
2015年にオープンした開放感あふれる「Unir本店」。入ってすぐ目に飛び込んでくるのは存在感たっぷり、国内でも数少ない高性能焙煎機のローリングスマートロースター35kg。
その横には中米やアフリカなどの生産地から直接買い付けたコーヒー豆の麻袋が積まれています。Unirは、スペシャルティコーヒーのポテンシャルを引き出すために焙煎にも深く追及し、そして鮮度にもこだわり毎日必要な量だけを焙煎します。
最高品質の豆と焙煎、Unirのこだわりはそれだけではありません。トップバリスタが淹れたコーヒーをお客さんに供します。Unirのバリスタは、日本最高レベルの選手権『ジャパン バリスタ チャンピオンシップ』での優勝者や上位入賞者が数多く在籍する実力派揃いなのです。店舗にはスタッフ育成のためのバリスタ・トレーニングルームや、研修ができるセミナー室も備わり、Unirの中枢を担う場所になっています。
また、「コーヒーを特別なものとしてではなく日常の延長として楽しんでほしい」とカフェも併設しています。スペシャルティコーヒーの魅力を引き出すフレンチプレスコーヒーやカプチーノなど豊富なドリンクをはじめ、パティシエが作るスイーツ、地元野菜を使ったランチなどコーヒーを取り巻くフード類も充実。焼き菓子、コーヒー、豆のテイクアウトができます。
Unir誕生のきっかけは素晴らしい一杯との出合い
現在はスペシャルティコーヒーの専門店が増えていますが、あまり知られていなかった15年前に関西でいち早く取り組んだのがUnir代表の山本さんです。
Unirの誕生は、山本さんが今まで飲んだこともない“美味しい一杯”に出合ったことからはじまります。当時は会社員でしたが、食べることが大好きで「いつかは飲食店を営んでみたい」と思っていたそうです。“美味しい一杯”を飲んだときのあの感動が忘れられず、34歳で退職。その2年後、長岡京市にある自宅1階のガレージを改装してUnirを開きました。開業までの2年間は、知名度が低かったスペシャルティコーヒーを提供するため徹底的にコーヒーについて勉強し、名店のコーヒーを飲み歩いたといいます。
今では、コーヒー豆の仕入れは生産地に何度も出向き直接買い付けを行かれていますが、コーヒーの勉強をはじめた頃、疑問に感じたことがあったとか。「この取引は消費者側に立っているのだろうか…」と。
一般的なコーヒー豆の格付けは生産地によって異なりますが、概ね大きさで等級が分けられ、また農園の標高の高さによって評価されます。コーヒーの銘柄の知名度によっても変わってくるとのこと。外見やブランドだけで価格が決められ、その豆自体にどんな酸味や甘味が含まれているのか…、といった“美味しさ”については一切評価されていませんでした。
「コーヒー豆は嗜好品であり飲物なのに、味を確認しないのはおかしいのでは」と。標高が低くても上質な豆もあれば、ブルーマウンテンのように有名な豆でなくても味わい深く個性豊かな豆もあるといいます。
そこで山本さんは生産者とフェイス・トゥ・フェイスで信頼関係を築き、コーヒーの風味を評価するカッピングを通じて豆の品質を確認し、それに見合う価格で買い付けを実行することに決めたそうです。生産者の努力が報われる取引でないと質のよい豆を仕入れることは難しく、サスティナブルに美味しいコーヒーを提供できないと考えてのこと。
「from seed to cup〜豆からカップまで〜」を実践
スペシャルティコーヒーの定義は「from seed to cup」、直訳すると「豆からカップまで」。これは、コーヒー豆に対して生産地の段階から関わり、お客さんに提供する一杯のコーヒーになるまでの全てにベストを尽くすということ。これはUnirの理念にも通じます。
「ダイレクトトレードで輸入する生豆をローストしてバリスタの手によって最高の状態で味わってもらうのが僕たちの役割。仕入れから焙煎、抽出、カップに注ぎお客さんへの説明まで各パートごとに、常にブラッシュアップしていかねばならないと考えています」。
「from seed to cup」をもっと実践しようと思い至ったのは、1号店で当初行っていたカフェ経営をやめて豆の卸しに専念していた頃。「豆を焙煎して卸すだけで、スペシャルティコーヒーを飲んでもらえるのだろうか。店舗に卸す側であっても、本物の味を届けるためには抽出の勉強もする必要があるのではないか…」と。
ですが、山本さんは焙煎やカッピング、経営で手一杯で、とてもバリスタ技術まで習得する余裕はありません。そこで妻の知子さんに想いを託します。知識と技術を身につけるために、知子さんは2008年より『ジャパン バリスタ チャンピオンシップ』への挑戦をはじめました。そして10年間の並みならぬ努力の末、2018年に念願のチャンピオンに輝き、世界大会の日本代表に選ばれました。
バリスタの腕を磨く一方で2012年より、豆の販売に加え、カフェを併設した店舗を構えました。店では、スペシャルティコーヒーの中でも日本でわずか 3~5%しか流通していない「トップ・オブ・トップ」の希少な豆を使用。業界最先端の焙煎機を用いて、豆を焦がすことなく本来の風味を引き出し、一流の腕を持つバリスタの手により最高級のコーヒーをお客さんに届けます。こうして「from seed to cup」の実現が進み出しました。
長岡京市を拠点に、地元から誇りに思ってもらえる店に
開業から15年経ち、スペシャルティコーヒーの専門店として広く知られるようになったUnir。人気と知名度が高まるにつれて山本さんの元に、「出店しませんか」というオファーが数多く舞い込みます。
「お声がかかれば、スペシャルティコーヒーを多くの方に味わってほしいので、出店する地域のニーズ、店舗の広さに応じて展開していくつもりです。ですが、仮に店舗数が順調に増えていくことがあったとしても、本店は長岡京から離れることはありません」。
利便性がよい街中ではなく、地元の長岡京を拠点にするその理由とは?
「地元から愛される店は、その店の強みにも通じると考えるからなんです。これまで続けてこられたのは、大勢の方々の支えがあってこそ。心からそう思っています」と地域に対する思いを語ります。恩返しの気持ちも込め、お誘いがあれば地域の祭りに関わり、所属している長岡京市商工会主催のイベントに参加し、依頼があれば講師を務めるなど、地元とのつながりも欠かしません。
「これからも応援してもらえる店、地元の人たちが誇りに思ってもらえる店にしたいな…」と照れ笑いする山本さん。
スペシャルティコーヒーを関西に広めた先駆者であるUnir。そんなスゴイ店の本店が自分たちの住んでいる地域にあるなら素直に嬉しい。つい自慢したくなり、応援したくなるのではないでしょうか。
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