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「完熟イチジクのまち」城陽市で食べる、口福感たっぷりの朝採りいちじく

【城陽市】
「完熟イチジクのまち」城陽市で食べる、口福感たっぷりの朝採りいちじく

優しい甘さとプチプチとした食感が楽しめるいちじく。
夏から秋にかけて旬を迎えるこのフルーツは、栄養価が高いことから「不老長寿の果物」とも呼ばれ、漢方にも用いられてきました。
そんないちじくの生産量府内一を誇り、完熟で提供するのが、京都府南部の城陽市。
今回は城陽市で「KYOTOいちじくFACTORY」を運営する森島平兵衛農園の代表・森島 範紘(のりひろ)さんに、いちじくの魅力などを伺ってきました。

90年の歴史を誇る城陽のいちじく、産地になった理由とは?


城陽市は京都や大阪、奈良の市街地からのアクセスが良く、都市近郊農業が盛んな地域です。特産品であるいちじくは、毎年8月から10月に収穫の最盛期を迎え、その収穫量は約400トンに及びます。

 

城陽市でいちじく栽培が行われるようになったのは約90年前。高温多湿な気候と豊富な地下水、また京都市などの消費地に近く、完熟に近い状態で出荷できることから、水稲からの転作で栽培が盛んになり、今ではいちじくの一大産地として成長しました。


老舗農家がプロデュース!「KYOTOいちじくFACTORY」とは

 

そんな城陽市にあるKYOTOいちじくFACTORYは、この地で300年続く農家・森島平兵衛農園がプロデュースする自社ブランド。「体も心も楽しくヘルシーになれる、豊かないちじくライフを過ごしてもらえたら」という森島さんの思いから、2021年に立ち上げられました。

 

森島さんは、京都の大学を卒業後、サラリーマン時代を経て、2007年に地元へ戻って家業を継承。先代の教えのひとつ「時代が変わっても、変わらずに人々に喜ばれるものを作ること」を信条に、いちじく栽培に加えて、豊富で良質な地下水を利用した花の栽培(カラー、蓮の花)も行っています。


完熟したいちじくは柔らかくてたいへん甘い、果汁あふれる芳醇な味わいです。しかし、日持ちがしないという理由から、市場へ出荷するいちじくは完熟一歩手前の状態で収穫されたものが一般的です。

ところが、KYOTOいちじくFACTORYのいちじくは、販売の直前の朝に完熟しきった状態のものを採った「朝採り完熟いちじく」。毎年8月半ばから10月中旬の約2カ月間、毎朝5時から8時、いちじくの完熟具合を一つひとつ見極めて手摘みしているそうです。


期間限定で賑わう直売所!朝採り完熟いちじくと看板スイーツ

 

直売所の営業時間は、朝9時から12時まで(売り切れ次第終了)。桝井ドーフィン(赤いちじく)やバナーネ(白いちじく)を中心に常時3~4種類、最盛期は200パックものいちじくが並びます。なんと、早い日は30分で売り切れることもあるのだとか!!

※直売所は、毎年8月中旬から10月中旬の2ヶ月間、無休で営業中。1パック600円~。

 

こちらは3日前までに要予約の「完熟いちじくのタルト」(5号サイズ)3,800円。京都のコンフィチュール専門店「北野ラボ」と一緒にレシピ開発した見目麗しいタルト。

「タルト台に濃厚なカスタードクリームと、甘酸っぱいサワークリームをしき、その上に大玉の桝井ドーフィンをたっぷり3つ、贅沢にのせています。もちろん、朝採り完熟いちじくを使用。昨年は1シーズンで100台の注文が入った看板商品なんですよ」と森島さん。

 

さらに、こちらも人気の逸品。凍らせたバナーネ(白いちじく)と牛乳のみでつくった「いちじくスムージー」500円。白いちじくの濃厚な甘さが牛乳とマッチ!とってもやさしい甘さが暑い時期にぴったりです。

 

木の上でしっかりと完熟させることにとことんこだわり、ギリギリを攻める森島さん。少しでも完熟し過ぎると実が割れてしまったり、雨が降ると皮が柔らかいので傷ができてしまったりするそう。そういった規格外商品の救済措置として、スムージーやドライフルーツに加工して販売することにしたそうです。


栽培から販売まですべて手作業!美味しさの秘訣がここに

 

森島さんのいちじく畑にお邪魔しました。とってもきれいで整然としています。

「いちじくは一枚の葉の根元に一つの実を付けます。(下写真)葉に日光が良く当たるように、そして風通しを良くするために剪定や草引き、芽かき(新芽を落とす作業)などの作業を面倒くさがらず、しっかりこなして、畑を常にきれいな状態で保つことが、美味しいいちじくを作るための秘訣ですね」と森島さん。

 

また、いちじくは繊細な果物ゆえに、栽培から出荷まですべて手作業で行われています。大変な労力がかかりますが、森島さんはいちじく栽培のどんなところに魅力を感じているのでしょう。

「収穫期にピカピカで美しく育った大量のいちじくを見た時、この手で芸術作品を生み出したかのような感覚を味わえることです。あらためて農業ってクリエイティブな職業だな~と実感しますね。またお客さんから『こんな美味しいいちじくは食べたことがない』と褒めていただけると、1年かけて栽培した苦労が報われます。直売にチャレンジして本当に良かったです」。


珍しい品種がずらり!いちじくの種類や特徴を解説

 

KYOTOいちじくFACTORYには、美味しくて珍しい品種のいちじくが目白押し。現在は9~10種類のいちじくを栽培しています。一般にほとんど出回ってないものも多いんですよ。今回は一部をピックアップしてご紹介!

写真左上から時計回りに「桝井ドーフィン」、「バナーネ」、「コナドリア」、「ネグローネ」。


●「桝井ドーフィン」の収穫時期は8月上旬〜10月上旬。一般的にスーパーなどでよく見かけるいちじくの代表格。

●「バナーネ」の収穫時期は8月上旬〜10月上旬。熟しても黄緑色のままの白いちじく。皮が柔らかくそのまま皮ごと食べることができます。また、糖度が高く、ねっとりとした食感が特徴。

●「コナドリア」の収穫時期は8月中旬〜9月下旬。きれいな緑色の皮と桃色の果肉が特徴の白いちじく。こちらも皮ごと食べられます。甘みと酸味のバランスが絶妙。

●「ネグローネ」の収穫時期は9月上旬〜10月下旬。希少性が高い、小粒の黒いちじくで、ほかのいちじくと比べると芳醇な酸味の中にしっかりとした甘みも感じることができる、ちょっぴり大人の味わい。


いちじくの収穫時期は8月から10月下旬まで。品種ごとに最盛期が違ってくるので、いろんな種類を食べてみたい方は時期をずらして何度か足を運んでみてくださいね。


いちじく農家さんオススメの食べ方からアレンジ方法まで

 

森島さんにおすすめの食べ方を教えてもらいました。まずはシンプルにいちじくそのものの味わいを堪能しましょう。「冷蔵庫で3時間ほどキンキンに冷やしてそのままパクリとかぶりつく」のが森島さんの一番のお気に入りの食べ方なんだそう。

 

お酒のおつまみにもアレンジできます。完熟いちじくはとっても甘いので、生ハムやチーズなど塩気のあるものや、渋めの赤ワインと相性がよいとのこと。

 

いちじくのスライスとモッツァレラでカプレーゼに。お好みでいろんなアレンジを楽しんでみてください。なお、完熟いちじくは傷みやすいので、直売所で購入後、その日のうちにお召し上がりくださいね。


完熟いちじくをもっと知ってもらい、地元を盛り上げたい

 

最後に、森島さんに今後の展望について伺ってみました。

「丹精込めて作った高品質のいちじくの生産量を増やすことを一番大切にしています。より多くのお客さんに完熟いちじくの魅力を知ってもらうため、飲食店とのコラボをさらに増やしていきたいですね。完熟いちじくを目当てにたくさんのお客さんが城陽市に足を運んでくれることで、結果、地元が盛り上がればこんな嬉しいことはありません」。


【イベント情報】 イチジクスタンプラリー2023/城陽いちじくマルシェ

 

完熟イチジクのまち、城陽市が舞台の「イチジクスタンプラリー2023」が9月1日(金)~30日(土)までの1カ月間、開催されます。市内27の飲食店などで完熟いちじくを使ったスイーツ&グルメが味わえます!2店舗巡ると抽選で商品券が当たるチャンスも。ぜひ、応募してみてください。

また、8月27日(日)~9月24日(日) の毎週日曜日11時から、ロゴスランドプラムイン城陽にて、「城陽いちじくマルシェ」も開催。朝採れ完熟いちじくを若手生産者が直売します。9月24日(日)の10時30分からは、ステージイベントやいちじくの飲食ブースなどを設けたイベントも!この機会にぜひ、城陽のいちじくの魅力を満喫してみてください。

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