桜の名所「向日神社」の近くで見つけた!カラフルでかわいい歴史ある和菓子
向日市・長岡京市
「竹の里」と呼ばれる乙訓地域をテーマにした源氏巻・かぐや
JR京都駅から電車で15分ほど、京都の西側に位置する乙訓地域は長岡京市、向日市、大山崎町からなるエリアです。「竹の里」とも呼ばれていて、竹林の散歩道、竹アート、竹製の道具など、さまざまな角度から竹の魅力に触れることができます。2024年に復活した「辻山久養堂」には、竹の色をしたかわいい和菓子があると聞いて伺ってきました。


桜で有名な「向日神社」のそばで
ぽかぽか陽気が、お出かけモードのスイッチを入れてくれる春。向日市のお花見スポットといえば、奈良時代の創建と伝わる「向日神社」が有名です。鳥居から本殿へと続く参道に美しい桜が咲く様子は、まるで桜色のトンネルのよう。見頃に合わせて桜まつりも開催され、期間中は多くの人で賑わいます。

約20年ぶりに[辻󠄀山久養堂]を復活させた辻󠄀山由紀子さんにとっても、「向日神社」は身近な存在。「このあたりで暮らす人はみんな、お正月や桜の時期などに訪れます。私自身は、何かもやもやした気分の時に、リセットをしに行くことも。いつも守っていただいている気がします」。
地域の人たちの記憶に残る源氏巻
もともとは「向日神社」の参道脇で営んでいた[辻󠄀山久養堂]。約100年前、辻山さんの曽祖父さんが創業し、「向日神社」の参拝後に立ち寄る人も多く、この地域になくてはならないお店でしたが、約20年前に閉店。
閉店してからも、当時銀行で勤務していた辻山さんの制服の名札を見て、「あのお店のご親戚?源氏巻おいしかったのに、食べられなくなって本当に残念」と声をかけてもらったことは、一度や二度ならず。「こんなにも愛されていたお菓子だったんだ」と実感したそうです。

2024年新春、屋号と銘菓が復活
なめらかな白あんを、ツルリとした舌触りの羊羹でくるりと巻いた、紅白の色彩も晴れやかな源氏巻。「私自身も好きな和菓子だし、みんなの思い出に残る源氏巻を、どうにか復活させたい」と、辻山さんは一念発起。先代が残してくれていた手書きレシピを頼りに試作を重ね、懐かしくて新しい源氏巻が完成。2024年1月25日に新店舗はスタートした。

「最初はうずを美しく見せることすら難しかった。羊羹がゆるすぎると巻けないし、硬いと巻いているうちに割れてしまう。不思議と、気持ちがざわついていてもうまく巻けないんですよ。心を穏やかにととのえてお菓子と向き合っています」。

並ぶ様子がかわいいカラフルうず巻き
以前のお店で扱っていた源氏巻は赤色の棹タイプのみでしたが、新たな[辻󠄀山久養堂]に並ぶ源氏巻はカラフルでカット売りもあります。ビーツの赤が鮮やかな源氏のほか、抹茶の香りも色合いも上品な、竹をテーマにしたかぐやを考案。乙訓らしいお土産として地元の人をはじめ、旅行者にも重宝されそうです。

「立ち寄ってくださった方に季節を感じていただけたらと、毎月お届けしているのが、限定の源氏巻。最初は、続けられるかなと不安もあったのですが、楽しみに待ってくださるお客様が増えて、次はどんな仕立てにしようかと考える時間が楽しくて仕方ないです」。7月はシャインマスカット、10月は国産栗など、訪れる度に創作意欲あふれる辻山さんの季節限定商品があり、楽しみが尽きません。

いつか語らい憩えるスペースも
オープンしてから、ようやく季節もひとまわり。かつてのように、量り売りスタイルのおかきも再び店頭に並んでおり、源氏巻と合わせて購入する人も多いのだとか。かわいい源氏巻のビジュアルに惹かれた女子、乙訓らしいかぐやをお土産にしようと訪れたマダム、すっかりおかきファンになったおじいちゃんなど、さまざまな人が扉を開きます。「今はまだ手が回らないんですけど、いつかイートインスペースを設けて、お菓子を食べながらお客さまと他愛のないおしゃべりができたらなと思っています」。
ポップでカラフルな手のひらサイズの和菓子・源氏巻が、これからもたくさんの人の縁を繋いでくれそうです。



辻山久養堂
075-955-2657
京都府長岡京市滝ノ町2-2-6
10:00〜17:00
日・月曜、祝日休
https://tsujiyama-kyuyodo.jp